研究課題/領域番号 |
12876048
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | 東京水産大学 |
研究代表者 |
塩見 一雄 東京水産大学, 水産学部, 教授 (90111690)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ハタゴイソギンチャク / ペプチド毒 / 上皮増殖因子 / EGF / A431細胞 / EGFレセプター / サワガニ |
研究概要 |
1.ハタゴイソギンチャクからサワガニに対して一過性の強い麻痺を引き起こすペプチド毒(SgI)を単離し、46残基目までのアミノ酸配列を決定した。TOFMSで求めた分子量(5369)から残り2〜3残基と判断された。SgIのアミノ酸配列は哺乳類由来の上皮増殖因子(EGF)と35〜40%の相同性を示し、6個のCys残基をはじめとしたEGFモチーフはよく保存されていた。 2.SgIはED3.6μg/kgでサワガニに一過性の麻痺を引き起こすが、1mg/kgの投与でもサワガニ、キンギョおよびマウスに対する致死作用は示さなかった。なお、対照として用いたヒトEGFはいずれの活性も陰性であった。 3.SgIはヒト頭頸部ガン細胞(A431細胞)に形態変化(多角形から球状への変化)を引き起こすこと、またウエスタンブロッティングによりA431細胞のEGFレセプターに結合してリン酸化を促進することを明らかにした。SgIのこれら活性の強さはヒトEGFの1/100程度とかなり弱かったものの、SgIは毒性とEGF活性の両者を併せ持つ世界最初のペプチドであることが確認された。 4.ハタゴイソギンチャク近縁のイボハタゴイソギンチャクをはじめとした約20種イソギンチャクについてA431細胞に及ぼす効果を検索したところ、数種イソギンチャクに細胞毒性が認められたがEGF活性はいずれも陰性であった。また、サワガニに対しては致死活性はすべて陽性であったが、一過性の麻痺作用は観察されなかった。以上より、SgIのような特異なEGF様ペプチド毒は、ハタゴイソギンチャク特有の成分であると推定された。
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