研究概要 |
現在,鳥類では様々な方法を用いてトランスジェニックアニマルの作出が試みられているが,効率的な形質転換はなされていない。鳥類胚は胚発生初期の一時期に配偶子の幹細胞である始原生殖細胞(PGCs)が胚体外の生殖三日月環領域に局在している。本研究はウズラ胚においてこの部位にレポーター遺伝子であるEGFP遺伝子(野生型GFP遺伝子の変異体)をin vivoマイクロエレクトロポレーションにより導入し,この方法による外来遺伝子導入の有用性を明らかにするとともに,形質転換されたPGCsの発生を解析し,PGCsを介したトランスジェニックアニマルの作出の可能性を追求した。野生型羽装ウズラの受精卵を12〜14時間孵卵しステージ4〜5の発生段階の胚を得て,PGCsが局在しているGCRにpMiw-EGFPをin vivoマイクロエレクトロポレーションした。488nmの励起光照射によりレポーターであるEGFP遺伝子(野生型GFP遺伝子の変異体)の発現を観察した。電圧8〜12V,プラスミド濃度1.0μg/μlの条件が効率的な遺伝子導入条件であった。GFPタンパク質による蛍光を発する(緑色に光る)血中PGCsが観察された。以上のことから,ウズラ初期胚における外来遺伝子導入法としてin vivoマイクロエレクトロポレーションは有用であり,生殖三日月環領域に遺伝子導入することにより効率的にPGCsに遺伝子導入することができることを明らかにした。
|