研究課題/領域番号 |
12877010
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
能勢 博 信州大学, 医学部, 教授 (40128715)
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研究分担者 |
谷口 俊一郎 信州大学, 医学部, 教授 (60117166)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | カルポニン / ノックアウトマウス / 運動 / 血圧調節 |
研究概要 |
最近発見された平滑筋収縮蛋白質であるカルポニンの血圧調節機構における役割を明らかにする目的で、谷口俊一郎教授の教室からカルポニンノックアウトマウス(KO群)の提供を受け、安静時の平均血圧と心拍数の連続測定し、対照マウス(WT群)の場合と比較した。その結果、血圧の自然変動は両群で差がなかったが、その血圧変動対する心拍数の応答が、KO群で亢進していた。両者の関係から動脈圧反射のゲインを求めると、KO群では-13.1EA1.5beats/min/mmHg(n=6,meanEASE)と、WT群の-6.2EA0.7beats/min/mmHg(n=6)に比べ、約2倍に亢進していた。このKO群の心拍応答の亢進は、動脈系圧受容器の除神経で消滅し、さらに、KO群ではWT群に比べ、phenylephrine, sodium-nitroprossideに対する血圧応答が減弱していた。以上の結果から、KO群では、交感神経と血管内皮からの血管作動性物質に対する反応が鈍化しているために、補償的に血圧反射が亢進していることが示唆された。 次に、トレッドミル走行時の平均血圧をKO群とWT群で比較した。その結果、KO群では、WT群に比べ動脈血圧変動が亢進していた。その動脈血圧変動に対する心拍応答から動脈圧反射のゲインを求めると、WT群では、安静時に比べゲインが変わらなかったが、KO群では安静時の50%にまで低下した。以上の結果は、KO群のトレッドミル走行時の血圧変動の亢進は、もともとKO群が有する末梢血管調節不全が、動脈血圧反射のゲインの低下によって、補償できなくなったために引き起こされたと考えられる。 これらの結果から、血管平滑筋のカルポニンは、安静時および運動時の交感神経および内皮細胞からの血管作動性物質に対する血管収縮反応を維持し、血圧の安定性に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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