研究課題/領域番号 |
12877044
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
|
研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
早石 修 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (40025507)
|
研究分担者 |
江口 直美 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (10250086)
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究部長 (10201360)
|
研究期間 (年度) |
2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | プロスタグランジン / PGF合成酵素 / プロトゾア / トリパノソーマ / アフリカ睡眠病 |
研究概要 |
我々はアフリカ睡眠病の病原寄生虫であるトリパノソーマ(Trypanosoma brucei)が、アラキドン酸からプロスタグランジン(PG)D2・E2・F2αを合成することを見出した。T.bruceiのPG合成活性は、熱処理により失活し、ヒトのシクロオキシゲナーゼ阻害剤である非ステロイド性抗炎症剤(インドメタシン・アスピリン)により阻害されないことから、哺乳類のシクロオキシゲナーゼとは異なる酵素系により触媒されることが明らかになった。さらに、T.bruceiの可溶性画分に、PGD2・E2・F2αの共通前駆体であるPGH2をPGF2αに還元するPGF合成酵素活性を検出し、本酵素をSDS電気泳動上均一に精製した。さらに、精製酵素のリジルエンドペプチダーゼ処理により得られたヘプチドのアミノ酸配列を決定し、その配列に基いて合成したオリゴヌクレオチドを用いたRT-PCRにより、T.bruceiのPGF合成酵素をコードする全長cDNAをクローニングした。得られたcDNAから予想されるアミノ酸配列を用いた相同性検索の結果、T.bruceiのPGF合成酵素はアルド・ケト還元酵素遺伝子ファミリーに属し、且つ、動物や細菌のアルド・ケト還元酵素とは進化的にかけ離れた新しいメンバーであった。そして、本酵素と進化的に最も近縁関係にあった病原寄生虫リーシュマニア(Leishmania major)のアルド・ケト還元酵素類似蛋白質がPGF合成酵素活性を示すことを、大腸菌で発現させた遺伝子組換え型酵素を用いて証明した。さらに、L.majorのみならず、L.donovani、L.tropica、L.amazonesisが、PGF合成酵素を発現することを、免疫化学および酵素活性測定により確認した。PGF2αは哺乳類の生殖に重要な機能を担っている物質であり、トリパノソーマ感染症では血清PGF2α濃度の上昇や、それに伴う不妊が報告されている。従って、寄生原虫由来のPGF2αがトリパノソーマ感染症における不妊の一因として作用する可能性が考えられる。そこで、トリパノソーマの増殖や感染症の病状におけるPGF合成酵素の意義を検証するために、T.bruceiのPGF合成酵素の染色体遺伝子をクローニングし、相同組換え法による本酵素遺伝子ノックアウト原虫の作成を開始した。
|