研究概要 |
昨年度までに抗Lewis X抗体測定系の開発し,それを用いて抗Lewis X抗体の存在と抗体価を測定してHelicobacter pylori感染者における胃癌発生と組織学的胃炎の程度に関して種々の検討を行ってきた。 今年度は,これまでに収集したサンプルを用いて胃炎の活動性,胃癌発生に関連するとされる因子とLewis-X抗体の関連がないかどうか検討した。すなわち,「抗Lewis X抗体を含む血清と含まない血清とでヒト好中球のH. pyloriの貪食と活性酸素種産生に関連がないかどうか」と「近年,消化器癌の発生・増殖に寄与するとされているCox-2の発現と抗Lewis X抗体の関連についての検討」である。 今回の検討では抗Lewis X抗体とこれらの因子についての関連は認められなかったが,抗H. pylori抗体が存在する血清では好中球による菌の貪食が速やかに起こり,より多くの活性酸素種が産生されることが分かった。また,Cox-2の発現の増加が分化型の胃癌に特徴的で,発癌の早期の段階から起こる現象であることが明らかとなった。
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