研究課題/領域番号 |
12877114
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
下川 宏明 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (00235681)
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研究分担者 |
平川 洋二 九州大学, 医学部・附属病院, 助手
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 内皮由来過分極因子(EDHF) / 一酸化窒素(NO) / 内皮由来弛緩因子 / 内皮型一酸化窒素合成酵素 / superoxide anion / catalase / 血管内皮 / 動脈硬化 |
研究概要 |
1.血管内皮由来弛緩因子のうち、まだ、その本体が同定されていない内皮由来過分極因子(EDHF)の同定を試みた。内皮由来一酸化窒素(NO)とEDHFとが動脈硬化危険因子やその治療に対して同じ挙動をとることに着目し、「EDHFはNO合成酵素(eNOS)由来の非NO物質、特に活性酸素種である」との仮説を立てた。 2.eNOS欠損(KO)マウスの腸間膜動脈では、確かに、内皮由来NO成分の消失に加えて、EDHFによる弛緩反応・過分極反応も著減していた。しかし、アゴニスト刺激による内皮のCa増加反応は正常に保たれており、また、eNOS-KOマウスに見られる軽度の高血圧は原因していないことを確認した。したがって、EDHFがeNOS由来の非NO物質であることを確認した。 3.正常マウスの腸間膜動脈では、内皮からのPGI2とNOの産生を抑制した後のEDHFによる弛緩・過分極反応が、H2O2の特異的阻害薬であるcatalaseにより抑制された。Catalaseを薬理学的に不活化するとその抑制作用も消失した。 4.外因性に投与したH2O2は、正常マウスの腸間膜動脈血管平滑筋の弛緩・過分極反応を用量依存性に惹起した。この反応もcatalaseで抑制された。 5.共焦点レーザー顕微鏡とperoxide感受性蛍光色素を用いて、内皮からのH2O2の産生の動態を観察した。正常マウスでは、アセチルコリン刺激により内皮からH2O2が産生され、これがcatalaseの前投与により抑制された。一方、eNOS-KOマウスの内皮ではH2O2の産生が著減していた。 以上の結果より、マウス腸間膜動脈において、H2O2はEDHFとして機能することを同定した。
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