研究概要 |
(1)RT-PCR法によるレプチンmRNA検出法を確立した。すなわち、レプチン遺伝子の第2及び第3エクソンにプライマーを設計し、cDNAを鋳型としてRT-PCRを行った。陽性コントロールとしてhuman leptin cDNAを用いた(University of Maryland,Da-Wei Gong博士より供与をうけた)。最適となるPCRの条件を設定して、陽性コントロールに強いシグナルを検出できた。 (2)様々な感染症、悪性腫瘍などの消耗性疾患とレプチンとの発現の関連をみるために、以下の各種培養細胞、組織からtotal RNAを抽出してレプチンmRNAの発現の有無を検討した。慢性活動性EBV感染症、EBV関連血球貧食症候群の末梢単核球、肝臓、脾臓などの組織DNAを検索した。結果は全てが陰性で、これらの細胞ではレプチンの発現を認めなかった。 (3)近年レプチンmRNAと蛋白が腸管上皮細胞より検出された(Nature 1998;394:790-3)。最近Hericobacter pylori陽性胃炎の胃粘膜にてレプチンmRNAの発現が増強していると報告された(Gut 2001;49:324-329)。そこで小児の胃炎、腸炎においても同様にleptinの発現の増強が認められるか否かを検討した。検索した7例のHericobacter pylori陽性胃炎、1例の潰瘍性大腸炎の生検材料ではレプチンmRNAの発現の増強は認められなかった。小児のHericobacter pylori陽性胃炎の病態は成人と異なる可能性がある。 (4)現時点では感染症、悪性腫瘍などの消耗性疾患、消化器疾患とレプチンとの関連を証明するには至らなかった。
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