研究概要 |
培養ヒト表皮細胞を用いて,蛍光抗体間接法にて,各種膠原病患者血清(全身性強皮症30例,全身性エリテマトーデス20例,皮膚筋炎20例)による抗核抗体価をあらかじめ測定し,紫外線照射によってアポトーシスを誘導した培養ヒト表皮細胞を基質とした抗体価との比較を試みた。 各種膠原病血清はいずれも抗核抗体陰性あるいは交代価が低値のものを選択して使用した。紫外線照射前の陽性率は,全身性強皮症37%,全身性エリテマトーデス60%,皮膚筋炎30%であった。 紫外線照射後に抗核抗体が陰性から陽性となったものは全身性強皮症7例,全身性エリテマトーデス2例,皮膚筋炎3例であった。 また,あらかじめ陽性であったものの。紫外線照射後に4倍以上抗体価が上昇したものは全身性強皮症4例,全身性エリテマトーデス2例,皮膚筋炎2例であった。以上の結果は,これらの膠原病患者血清中にアポトーシスを誘導された培養ヒト表皮細胞に特異的な自己抗体が存在することを示唆している。 次に,同様の実験をTGF-βによってアポトーシスを誘導したヒト臍帯静脈由来血管内被細胞によっても施行した。結果は新たにTGF-β処理後に4倍以上抗体価が上昇したものは全身性強皮症で7例,全身性エリテマトーデスで3例,皮膚筋炎3例であった。以上の結果は,膠原病特に全身性強皮症の抗核抗体出現のメカニズムの1つとして,アポトーシスによって誘導された非寛容蛋白の露出の関与が示された。
|