研究概要 |
前年度行った,剤型決定の実験に基づき,吸入型ガドリニウム造影剤による気道MRIの撮像を試みた。RIの吸入シンチグラフィーとの対比においては、肺野末梢まで,造影剤が到達するものの到達能にばらつきが多く、気道系の描出能も不十分であった。原因として、造影剤をエアロゾルにする際の造影剤の混和にぱばつきが生じた可能性や、麻酔中の気道流量や気管支毎の分布が一定でなかった可能性などが考えられた。 一方,吸入型ガドリニウム造影剤投与の動物実験における高分解能CTの解析において,明らかな浸潤性変化や間質性変化など,吸入後のガドリニウムの毒性に起因するような肺病変の所見は得られなかった。 また,摘出肺の病理標本において,明らかな肺胞領域における硝子膜形成,間質の肥厚等の肺間質領域における吸入に伴うアレルギー性反応やリンパ球浸潤など、明らかな異常は確認されなかった。 気道系内に散布されたガドリニウム造影剤Gd-DTPAの状態では安全であるものの,何らかの原因でキレート構造が破壊された場合には猛毒のガドリニウムが遊離するため,その薬物代謝の解明は重要である。しかし,今回の研究では吸入後の薬物動態を解明する事は、画像上も病理組織上もできなかった。本法をさらに進めるには、エアロゾル吸入時の薬剤分布の均等化を図るだけでなく、エアロゾル化したガドリニウム製剤の安定性や薬物動態の解明が必要と考えられた。
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