研究概要 |
手軽に使える(法規制外)微少密封線源と多線式比例計数箱(MWPC)を組み合わせて、医療診断を行うことができれば、患者の被爆線量を低く抑えることが出来る。これまでの研究結果からMWPCは光量子1個づつを検出できるので、線量を量子限界まで下げることができるため、原理的には、感度はフイルムに比べると10倍以上高く、またコントラストのダイナミックレンジも広いことが分かっている。当該年度は密封線源からのγ/X線を物質に照射し、物質の厚さの変化と透過γ/X線の計測数との関係を測定することによって透視画像作成について検討した。 1,使用時点で351kBqの^<241>Amからのγ線(59.54keV,26.35keV)およびNpLX線(11.9〜22.3keV)がアルミ板を透過する量を板の)厚みを変えて測定し、実効エネルギーで表される減衰曲線の実験式を得た。この線源からのγ/X線をアルミパイプ(直径2.6cm、肉厚0.2cm)と薄い円柱形容器中の水(直径2.6cm)に照射して、MWPCの出力から、厚さと形状を反映した強度分布を得た。そしてこの強度分布を上に述べた実験式で矛盾無く記述した。 2,植物の葉(もみじ、松葉)は薄いので、透過力の弱い(エネルギーの)低い)X線(ECによる6keVの)KX線、線源は使用時点で65kBqの^<55>Fe)を照射して、葉の形状を反映した強度分布を得た。このことより、透視画像作成の可能性が示された。実用化には、線源の形状、周辺バックグラウンドに対する測定器のS/N比の向上、高速測定データ収集システムの開発などが重要な課題となる。 3,2次元平面で効率よくかつ廉価にデータを収集するために、アノードワイヤーとカソードワイヤーを直交させたチェンバーを設計製作し、アノードワイヤー、カソードワイヤーとも荷電分割法により座標を読み出すことに成功した。現在取り込んだデータを演算処理し平面的に表示する方法を検討している。
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