研究課題/領域番号 |
12877159
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
|
研究機関 | 九州大学 (2001) 岡山大学 (2000) |
研究代表者 |
原田 実根 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00019621)
|
研究分担者 |
下田 和哉 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (90311844)
権藤 久司 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (10253428)
木浦 勝行 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (10243502)
池田 和真 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (50176088)
高田 穣 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30281728)
品川 克至 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (00273988)
石丸 文彦 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (50284097)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | NK細胞リンパ腫 / 鼻腔原発 / エプスタイン・バーウィルス(EBV) / latent membrane protein1 / アポトーシス / 薬剤耐性 / P糖蛋白 / NKリンパ種 / Epstein-Barr virus(EBV) / NK細胞 / LMP-1 / Bcl-2 |
研究概要 |
NK細胞白血病/リンパ腫の増殖機序と増殖抑制を検討するため、まず鼻腔原発NK細胞リンパ腫の白血病化症例から細胞株(NK-YS)を樹立した。本細胞株は形態的には大顆粒状リンパ球で表現型はCD2^+、CD3^-、CD5^+、CD7^+、CD16^-、CD56^+、CD57^-であり、EBウイルス(EBV)の感染は2型潜伏感染を示し、NK細胞白血病/リンパ腫に特徴的な形質を保持していた。 EBVでコードされたlatent membrane protein1(LMP-1)はEBV感染B細胞の不死化に必須であり、アポトーシスによる細胞死を妨げるアポトーシス抑制分子であるBcl-2の発現を誘導する。そこでLMP-1に対するアンチセンス・オリゴデオキシ核酸(AS-Oligo)の影響を2つのNK細胞リンパ腫細胞株(NK-YSとYT)細胞で検討したところ、AS-OligoはNK-YSおよびYTにおけるLMP-1mRNAや蛋白の発現をEBVで変換したB細胞株(CMG-1)と同様に抑制した。一方、細胞増殖、アポトーシス誘導、Bcl-2発現はCMG-1では抑制されたが、NK-YSおよびYTではこのような抑制は観察されなかった。これらの成績は、EBV陽性NK細胞リンパ腫では増殖、アポトーシスやBcl-2発現の抑制がEBV変換B細胞株とは異なり、LMP-1による直接的な制御を受けておらず、他のシグナル伝達システムを介することが示唆される。 次にNK-YSを用いてアポトーシス誘導およびP糖蛋白(Pg-P)の発現を検討した。NK-YSはアポトーシス誘導薬剤であるetoposide(ETP)やdoxorubicin(DNR)に抵抗性を示し、Bcl-2およびP-gPを発現したが、p53は見られなかった。そこで、P-qp拮抗剤であるcyclosporinA(CsA)を培養系に添加すると、CsA+ETPやCsA+DNRはアポトーシスによる細胞死を誘導した。これらの成績はP-gpを介する薬剤耐性がNK-YSの薬剤耐性の基本的な機序であり、抗癌剤とCsAの併用は鼻腔原発NK細胞リンパ腫白血病の治療に有用であることを示唆する。
|