研究課題/領域番号 |
12877182
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
関 博章 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40296603)
|
研究分担者 |
鈴木 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30296602)
星本 相淳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50296612)
|
研究期間 (年度) |
2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 白血球接着分子 |
研究概要 |
まずわれわれはラットに膵管および胆管の結紮によって膵炎および、閉塞性黄疸モデルを作成し、続発する肺障害と肺内血管内皮上のICAM-1分子発現の状態を検討した。肺間質への細胞浸潤が認められ始める時期に一致して、両者ともで抗ICAM-1抗体による細動脈の染色性の有意な上昇が認められた(p<0.05)。特に膵炎モデルにおいてはより末梢の肺胞壁内毛細血管での発現が強く、病態の重症度と関連している可能性が考えられた。またラット膵炎モデルにおいて、続発する肺障害の発症におけるICAM-1分子の役割を検討した。MPO活性の測定により肺への細胞浸潤を定量化したところ、処置後3日目にはMPO活性に有意な上昇が認められた。これに対して、抗ラットICAM-1抗体を第1および第2病日に経静脈投与したのち、第3病日に肺組織でMPO活性を測定したところ、抗体投与によりMPO活性の上昇は有意に抑制され(p<0.05)、膵炎に続発する肺障害の発症においてICAM-1分子が重要な働きを担っていることが示された。次に、胆管結紮による閉塞性黄疸を作製したマウスモデルを使用して、その肺障害発症における活性酸素と白血球接着分子(VCAM-1)の役割を検討した。肝臓における血管内皮上VCAM-1分子の発現の上昇に引き続いて、細胞浸潤を伴う肺障害の発生とともに処置後5日目より肺における血管内皮上VCAM-1分子の発現が有意に上昇した(p<0.05)。また、体内における活性酸素の働きが抑制されることが知られているSOD高発現トランスジェニックマウスにおいて、胆管結紮切断後5日目における肺の細胞浸潤と血管内皮上のVCAM-1分子の発現が、有意に抑制された(p<0.05)。閉塞性黄疸による肝臓の障害に伴った活性酸素の産生上昇が、肺における白血球接着分子の発現上昇を介して組織障害を惹起しているという可能性が示された。
|