研究課題/領域番号 |
12877213
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
阪中 雅広 愛媛大学, 医学部, 教授 (60170601)
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研究分担者 |
秦 龍二 愛媛大学, 医学部, 助教授 (90258153)
前田 信治 愛媛大学, 医学部, 教授 (50036464)
田中 潤也 愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)
大田 信介 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (50194163)
久門 良明 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80127894)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | L-セリン / グリシン / Bcl-w / 神経細胞 / アストロサイト / 神経栄養因子 / マイクログリア / 3フォスフォグリセリン酸脱水素酵素 |
研究概要 |
我々はこれまでに、マイクログリア機能が非必須アミノ酸であるL-セリン、グリシンに大きく依存していることを示してきた。神経細胞は、培養下においてはL-セリン、グリシン非存在下では長期生存が極めて難しくなることを示している。それに対し、アストロサイトの機能形態や生存には、両アミノ酸は全く関与せず、逆にアストロサイトは両アミノ酸を細胞外に分泌していることを示した。神経細胞やマイクログリアは、細胞外液中のL-セリン、グリシンに大きく依存しているのに対し、アストロサイトはなぜ細胞外に両アミノ酸を分泌できるのかという問題は、L-セリン、グリシンを解糖系の中間代謝産物より生合成する際の律速酵素である3フォスフォグリセリン酸脱水素酵素(3PGDH)の発現レベルの大きな違いに起因すると考えられた。すなわち、3PGDHの発現は、アストロサィトで高く、神経細胞やマイクログリアではごく低いことを我々は明らかにした。L-セリン、グリシンは、一次培養大脳皮質神経細胞の生存期間を濃度依存性に延長する。そのメカニズムについては、殆ど明らかではなかった。我々は、細胞生存に関わる因子群、特に抗アポトーシス因子として知られるBcl-2ファミリー遺伝子群を中心に、RT-PCR法を用い、L-セリン、グリシンによって発現が変動するかどうかについて調べた。その結果、アポトーシス抑止因子Bcl-wの発現が、L-セリン、グリシンの濃度依存性に上昇することを見出した。このBcl-wの発現上昇は、L-セリン、グリシンによる神経細胞生存期間延長の一つの機序であると考えられた。更に最近、アルツハイマー病発症の危険因子であるアポリポプロテインEが、マイクログリアから放出され、更にこの放出がアストロサイト由来のL-セリンに依存していることを見出し研究を展開している。L-セリンは、重要なリン脂質であるフォスファチジールセリンや、脳内に豊富に存在するスフィンゴリピッド生合成に必須のものであり、L-セリンが脳内で極めて重要な細胞制御因子として、作用していることがより明確になった(投稿準備中)。 以上より、L-セリン、グリシンの脳内濃度上昇を誘導することが、新たな神経疾患治療法となることを示唆している。
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