研究概要 |
同種移植で創傷治癒過程の細胞動態を正確に観察した研究は未だかつてないと言って良い.研究申請者は2系統のヌードラットを用いることによってgraft versus host reaction(GVHD反応)を含む免疫拒絶色反応を起こさない外科的キメララットを作成する系を確立してきた.このモデルでは組織適合性抗原が異なるため,モノクローナル抗体を用いることによって,血管や間葉系細胞がdonor由来かrecipient由来かを形態的に区別できることが最大の特徴である.まず,皮膚移植モデルから,その凍結標本を免疫組織染色した.2系統のヌードラットはPVGrnu/rnu(RT1^*c,雄PVGrnu/rnu.雌PVG+/rnuの交配による)とWAGrnu/rnu(RT1^*u.雄WAGrnu/rnu,雌WAG+/rnuの交配による)を用いた.現在,交配によって研究申請者が日本でただ一人,繁殖維持させている.WAGラットに関しては凍結受精卵の保存を完了した.今後,PVGの凍結受精卵の保存を行う予定である.形態学的観察に用いる抗体は一次抗体としてMRCOX27(mouse anti-RT1A^*c IgG2a antibody)とNR3/31(rat anti-RT1A^*u IgG2b antibody,Serotec,Bicester,GB)をbiotinylationして用い,二次抗体としてsheep anti-mouse lgG FITC antibodyとsheep anti-biotin strepto-avidin-Rodaminを使用した.なお標本採取に際しては,低温の細胞外液にて血液を還流し,非特異的反応を抑えた.現在,移植組織の間葉系細胞の動態を観察中である.
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