研究概要 |
骨組織は脊椎動物の進化の過程で様々な変化を遂げ,種々の形態と機能を獲得してきた。特に,脊椎動物が水中から陸に上がる過程で,骨格は体内のカルシウム貯蔵庫としての機能と重力に抵抗する強靭な支持組織としての機能を獲得したと考えられている。我々はカエルのオタマジャクシと成体の骨格を解析する過程で,生涯水中で生活するカエルと陸上で生活するカエルの骨格の差違が骨粗鬆症の病態に関連している可能性を考えている。今年度は両生類としてアフリカツメガエル,ウシガエル,爬虫類としてミドリガメ,ニホントカゲ,哺乳類であるマウスの骨における骨形成と骨吸収について解析した。その結果、アフリカツメガエルとウシガエルでは骨形成が哺乳類であるマウスに比べて非常に遅く,骨吸収もマウスより不活性であることが明らかとなった。そして,爬虫類であるニホントカゲにおける骨形成と骨吸収の活性はカエルとマウスの中間と考えられた。これらの結果は,カエルにおける骨代謝回転はマウスに比べると非常に遅いことを示唆している。また,これらの結果より,カエルにおいては,マウスのように骨組織はカルシウムの貯蔵庫としての機能を有しておらず,爬虫類になってから骨組織がカルシウムの貯蔵庫として機能することも示唆された。
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