研究分担者 |
大山 秀樹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90280685)
西村 英紀 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80208222)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50226768)
河野 隆幸 岡山大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80284074)
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研究概要 |
Prophyromonas gingivalis由来の分子量53kDaの外膜蛋白(Ag53)は,多くの歯周炎患者由来のIgG抗体およびヘルパーT細胞株によって共通して認識される領域(Ag53p141-161)を有する。本研究において我々は、歯周病細菌抗原由来蛋白を認識するT細胞が他の抗原蛋白と交叉応答し得ることを明らかにすることを目的とした。昨年度我々は、早期発症型歯周炎患者の末梢血単核球からAg53p141-161をHLA-DRB1^*1501拘束的に認識するTh細胞クローン(HT8.3)を樹立した。さらに,Ag53p141-161のアミノ酸配列と相同性を示す領域を有する蛋白5種類をデータベースから探り当てた。しかし,相同性を示す領域の合成ペプチドを作成したが,これらペプチドに対してHT8.3は応答性を示さなかった。このことは,Ag53p141-161の領域において,どの部位がT細胞の抗原認識に関わるかについての詳細を明らかにすることが必須であることを示唆するものである。 以上のことから本年度は,1)HT8.3の抗原認識に関わる詳細な部分を知ること,さらには2)Ag53p141-161において抗原認識に関わる詳細な部分のアミノ酸置換ペプチドに対するTh細胞の応答性を調べることを行なった。その結果,1)Ag53p141-161において,T細胞の抗原認識に関わる領域はAg53p144-155であること,2)Ag53p144-155においてp147(V)を1leにp151(A)をGlyにそれぞれ1残基置換したペプチドは,野性型ペプチドよりも低濃度でHT8-3の増殖応答を誘導することを突き止めた。 これらのペプチドの発見によって,歯周病細菌抗原由来蛋白を認識するT細胞が他の抗原蛋白と交叉応答し得ることの可能性,さらにはアナログペプチドを用いた免疫療法の進展への可能性が示唆された。
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