研究概要 |
本研究では"生きた状態"での生理活性種の機能解析を最終目的に生体の画像化(バイオイメージング)を行うが,そのためのプローブとなる新規化合物を創製した。はじめにプローブ設計の指針となる原理の開発を行い、それに基づいて種々検討した結果、今回2種の生理活性小分子プローブの開発に成功した。 A)Photoinduced Electron Transferメカニズムを原理とした画像化プローブの開発 この研究(A)では上記メカニズムに基づき種々検討とした結果、活性酸素種である一重項酸素を特異的に検出できるプローブ試薬の開発に成功した.一重項酸素は化学的には古くより多くの有機化学者、物理化学者によりその物性および化学的特性について検討が加えられてきたが、生体における作用すなわち生理的意義については混沌とした状態にあった。今回世界で初めて一重項酸素を高感度で細胞中から捉えることが出来るプローブが開発できたことはこの分野の研究に特段の進歩をもたらす事は疑いない。 B)Fluorescence Resonance Energy Transfer(FRET)メカニズムを原理とした画像化プローブの開発 このプロジェクトでは加水分解酵素Caspaseのバイオイメージング蛍光プローブの開発に成功した。FRETを原理としてCaspaseなどの加水分解酵素のバイオイメージングプローブが開発できる と考え、プローブとなるペプチド化合物をデザイン合成した。すなわち2種の蛍光化合物をつなぐスペーサー上にCaspaseにより特異的に切断可能なペプチド結合を挿入、Caspaseにより切断されると蛍光波長が変化する。それをモニターすることで結果的にCaspaseを捉えることができるようになった。この手法は他の加水分解酵素のプローブ開発にも応用可能である。
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