検査システム内の検査データーベースを検索し、個人毎の総コレステロール、中性脂肪、HDL-コレステロール、アポリポ蛋白A-I、C-II、のデータを抽出した。抽出したデータをEnd User Computing System(EUC)を利用して、 (1)リポ蛋白リパーゼ(LPL)欠損のハイリスク群の抽出のために、中性脂肪(TG)150mg/dl以上、HDLコレステロール(HDL-C)35mg/dl以下、の症例を抽出しアポリポ蛋白C-IIの情報を参照しながらハイリスク群とした。 (2)コレステリルエステル転送蛋白(CETP)欠損のハイリスク群として、総コレステロール240mg/dl以上、HDL-Cが85mg/dl以上の症例をCETP欠損ハイリスク群とした。 LPLのハイリスク群53症例に対して、8種のプライマーを用いて、全エクソンを解析し、27例のLPL欠損症のへテロ接合体、6例のホモ接合体を見出した。HDL-Cの値を変動させても、欠損例に対して偽陽性例が増加するのみであった。この規準は効率の良いLPL欠損症のスクリーニング法であることが見出された。 CETP欠損のハイリスク群の97例中より、イントロン14、エキソン15の異常の解析のためのプローブを用いて異常を解析し、イントロン14変異を7例、エキソン15例を9例見出した。これらの変異の頻度は約3%程度と推測されていることから、3倍以上に高頻度にハイリスク群が濃縮されていることが明らかであり、この方法も効率の良いCETP異常の検出論理であることが判明した。 このように、検査データベースを遺伝的異常のハイリスクとして検索することは、連結不可能な検索であっても、検査データの評価に関する情報を提供することであり、検査医学領域で重要な解析であると考える。
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