研究概要 |
I.発達障害児をもつ家族の強みに関する研究調査の分析結果 1.「家族の強み尺度」の作成 Powerらの定義する家族の強みの5下位概念(a.コミュニケーション技能 b.対応策を分かち合う能力 c.家族内サポート d.セルフケア能力 e.問題解決能力)のそれぞれに対応する既存の測定尺度を探索し,複数の看護学研究者による内容的妥当性の検討を経て家族の強み尺度を作成した. 2.「家族の強み尺度」の信頼性と妥当性の検討 平成13年調査の54組から2〜8歳の難治性てんかん児の家族に条件を限定して検討。「家族の強み尺度」の信頼性は各下位概念のα係数を確認し,家族環境尺度(FES)との有意な正の相関(Kendall's τ r=0.392, P<0.01)による基準関連妥当性を確認した。また,「家族の強み尺度」の構成概念妥当性については,各下位概念とFES下位尺度との相関関係による弁別的妥当性,下位概念間の関連と先行研究との整合性による収束的妥当性を確認した.尚,統計処理にはSPSS 10.0J win版を用いた. 3.面接結果との整合性 「家族の強み尺度」の結果の整合性は方法論三角法によって確認できた. 4.関西学院版FACESによる家族機能評価では,障害児をもつ家族の60%以上が凝集性過剰となるが面接結果とは整合しなかった.凝集性の高さは問題への対処方略と考えられ,必ずしも機能障害とはいえないことから,家族の強み尺度による査定がより適切と考えられた. II.アトピー性皮膚炎の乳幼児をもつ母親の看護職によるサポートに対する認識調査結果の分析 J.V. Zerwekhの家族ケア提供モデルを用いて,母親の認識について分析した結果,看護師に対するサポート源の認識は少ないが,保健師にはその認識を有するが否定的な認識も強かった.母親たちがサポートと受け止めた看護職のケアは「自分にできることを励ます」ことにつながる援助であった.
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