本研究は低強度のランニング時の脳活動をポジトロン断層法(PET)と[^<18>F]-fluoro-deoxy-glucose([^<18>F]-FDG)を用いて観察した。被験者はランニング群7名およびコントロール群9名であった。ランニング時の心拍数は140〜150拍/分に保たれた(平均速度2〜2.5m/sec)。ランニング時間は35分であった。脳局所の糖取り込み(脳活動)はランニング群とコントロール群を統計的に比較し明らかにした。脳のPETイメージは吸収補正(attenuation correction)を行い、また各被験者における脳の解剖学的形態の違いをStatistical Parametric Mappingソフトウェアー(SPM96)を用いて標準化した。ランニング時には頭頂葉連合野、視覚野、運動前野および小脳虫部の糖取り込みが有意に上昇した。最も高い糖取り込みは頭頂葉連合野であった。一次感覚運動野では脚をつかさどる内側上部が胸や上腕をつかさどる外側部よりも高い糖取り込みを示した。低強度ランニング時に頭頂葉から後頭葉にかけて、より高いエネルギー消費が認められたことから、運動指令よりも感覚情報の統合に、より多くのエネルギーが必要であることが示唆された。我々の結果はPETと[^<18>F]-FDGが運動時の脳活動を観察するために有用な手法であることを示唆している。
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