研究概要 |
目的:幼児の育児環境およびその生体影響を簡便でより客観性の高く検索する方法として非侵襲的および幼児に影響の少ない方法で採取できる尿や毛髪,爪等の生体試料の有用性を検証することを目的にその基礎となる栄養および微量元素摂取量と尿中排泄量の実態と相互関係の調査・検討を行なった。 方法:宮城県内の農業および漁業地域の4地区8幼稚園の119名(男児69名、女児50名)を対象に家庭および幼稚園等の協力の下に陰膳・実測法による対象園児の丸一日の間食を含む全食事と翌日の早朝尿を採取した。食事検体は食品別に秤量後に全量をミキシング処理し、分析用に凍結保存し、元素分析および標本資料としている。元素分析等は前年度と同様の方法によった。微量元素分析は食事、尿検体とも湿式灰化後に原子吸光・発光分光法やICP-MS等で行った。なお、生活活動状況は質問紙法により調査した。 結果と考察:1)年齢と体格:年齢は男、女児が4.72±0.95、4.60±0.96(M±SD)で、身長と体重はそれぞれ109.9±8.0,107.5±7.4と20.1±4.0,18.8±3.6である。2)塩素摂取量と尿中排泄量:男女別塩素一日摂取量(g/日)は3.05±0.95と2.88±1.24,尿中排泄量(g/L)は4.40±1.98と4.31±1.71。体重あたり塩素摂取量(g/kg)は男女差が無く、0.155±0.053。3)地区間の比較:塩素摂取量および尿中排泄濃度は4地区間に相違が認められた。食事内容および生活状況との関係を中心にその変動要因について検討を行なっている。
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