研究概要 |
実践的力量の形成は,授業者個々が当該の授業実践を振り返り,そこでの授業事象の認知と,授業実践の技術を,メンターを媒介に対象化する過程が重要である。その過程で、研究者の実践知が授業者の実践知と融合する機能が重要とされる。本研究では,オンラインカンファレンスシステムを用いて,教師の授業事象の認知と授業技術の適応を掌る実践知を,授業者とメンターとしての研究者自らが対象化することを通して,明らかにすることを目的に研究を実施した。 本年は、授業カンファレンスを行う際の、メンター側の機能に着目し、媒介者及び対話者としてメンターが果たす役割を、実際のデータから抽出する。授業後のリフレクション過程における授業者とメンターとのコミュニケーションを、その言動の分析を手がかりに、特徴を抽出し考察した。また、対話過程の中に、メンター自身が投影されることから、カンファレンスを通しての、授業者自身の変容とメンター自身の変容を把握し、カンファレンス過程における両者の相互作用をも明らかにすることができた。これらの分析を通して、教師のもつ実践知及びその実践知の把握と形成過程に係わる知見を,データ読み込みと解釈から得ることができた。とりわけ,複数名から成る授業観察者によるオン・ゴーイング法とその分析により,観察者としての実践知の固有性を把握することができた。 本年度は、最終年度であるので、これらの研究過程を整理し、事例的な分析による報告書を作成した。
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