研究概要 |
クラスター分析の目的は,個体間の類似性に基づき,いわゆる「似たもの同士」のグループを形成することである.本分析において最も問題となることはクラスター数の決定である.従来の手法はこれを主観的に与えるか,あるいは総ての可能性(個体数がnならばクラスター数は1からn個の総て)の中から適当に選択している.ここで提案した手法は何らかの基準で自動的にクラスター数を決定することであるが,全く事前の知識なくこれを決定することは困難な問題であるけれど,自律的クラスタリング手法において,ある程度この問題の解決が図られるものと考えている.そのための多くのシミュレーション実験により,KohonenのSOM(Self-organizing Map)と比較検討することによって,本手法の本質的なパラメータである動作規則の制御パラメータの値についておおよその検討がつけられた.ここに動作規則とは,現時点の個体間の類似度がつぎの時点にどのように変更されるかを決める規則である.自律的クラスタリング手法のクラスター形成過程特徴は,類似度データの表現する個体の空間配置を想定したとき,その周辺部から個体の融合が始まり,徐々に中心部へと進んでいくが,二つ以上のクラスターの中間に位置する個体は,どれかのクラスターに融合されることなく,孤立したクラスターを形成することであり,従来のk-means法およびkohonenのSOMとは決定的に異なる特徴であると考えられる.研究成果は雑誌「計算機統計学」に投稿した.さらに2002年7月にポーランドで開催の国際分類学会において招待講演として発表した.
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