研究概要 |
本研究では、各2進無限系列を区間[0,1)のある点の小数点以下を2進展開した系列とみなし、2進無限系列の集合Xの濃度をその点集合X⊆[0,1)のHausdorff次元HD(X)として評価する(2進無限系列の集合と点集合とを同一視する)。 2進無限系列の集合XのHausdorff次元HD(X)は、集合Xに含まれる最も圧縮しにくい2進無限系列を(計算可能でなくともよい)最も効率のよい符号化で圧縮する際の圧縮率に一致する(minimax性)ことがわかっている(Ryabko,1984)。また、単調性:A⊆B⊆[0,1)⇒HD(A)【less than or equal】HD(B)も満足する。したがって、評価基準としての妥当性は具備されているものと思われる。本研究では、以下の予想を証明する:任意の0【less than or equal】α【less than or equal】1に対して、1.LZ符号化で圧縮率α以下まで圧縮できるが、算術符号では圧縮率α以下まで圧縮できない系列の集合に対するHaussdorf次元はαであり、2.算術符号化で圧縮率α以下まで圧縮できるが、LZ符号化では圧縮率α以下まで圧縮できない系列の集合に対するHaussdorf次元は0である。 Hausdorff次元の単調性から、1.2.はLZ符号化の優位性を示すものである。また、minimax性から、1.のHausdorf次元がαを超えることはないので、到達しうる最大のHausdor圧次元が得られることになる。
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