研究概要 |
本研究は、不確実な環境下での数理ファイナンス(とくにオプションの評価)の数理構造に関するファジィ理論による解析とその意思決定理論の応用研究を目的としている。平成12年度はオプション評価のためのファジイ理論の基礎研究に重点をおいて行ったが、本年度はファジイ理論に立脚した確率過程をもとにオプションモデルの構築と特性の研究を中心に行った。本年度の主な研究成果は次の通りである。 1.ファジイ性を伴う連続時間ファジイ確率システムの構築を行った。 2.不確実な環境のもとでのアメリカンやヨーロピアン・オプションの研究を行った。 3.オプションやポートフォーリオ評価のために、ファジイ積分を基礎とした評価基準の研究を行った。 4.多目的最適化の観点から、ファジイ確率システムにおける多目的最適停止問題の研究と多次元ファジイ数の順序づけの研究を行った。 これらの研究成果は、国際学術雑誌Mathematical & Computer Modelingや研究代表者の編集した共著の著書Dynamical Aspects in Fuzzy Decision Making (Physica-Verlag, Springer,2001年5月出版)に掲載されている。また、本研究成果は国内では、研究代表者と中神潤一教授(千葉大学)共同主催の北九州市立大研究集会(平成13年11月18日・19日、発表件数17件、参加者30名)、京都大学数理解析研究所の研究集会、オペレーションズリサーチ学会、日本数学会において口頭発表を行い、また、海外での国際学術会議SCI 2001 (Orlando), IFSA/NAFIPS 2001 (Vancouver), NACA 2001 (弘前), KES 2001 (大阪), FUZZ-IEEE 2001 (Melbourne)において口頭発表を行った。 本年度は、不確実な環境での確率システムを基礎としたオプション評価において、十分評価できる研究成果が得ることができた。その他、本研究に参加した研究者は、本研究の研究計画に基づき各自の役割分担を十分に果たし、それぞれ一定の成果を納めた。
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