研究課題/領域番号 |
12878087
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 (2001) 名古屋大学 (2000) |
研究代表者 |
中尾 正義 総合地球環境学研究所, 総合地球環境学研究所, 教授 (90142695)
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研究分担者 |
藤田 耕史 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (80303593)
幸島 司郎 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (60183802)
大田 啓一 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (80022250)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 雪氷コア / アミノ酸 / D / L比 / 安定同位体 / 湿雪 / 生物活動 / 環境復元 / 年代 / 氷河コア / ラセミ化反応 / 汚れ層 / トリチウム |
研究概要 |
まず、アミノ酸年代と対比するために水の安定同位体比の湿雪中での変遷について検討した。その結果、湿雪の雪粒と間隙水との間で同位体交換が生じていることを定量的に明らかにした。そこで、上記結果と比較しつつ、ネパールヒマラヤ、リッカサンバ氷河から採取した浅層コアについて特にアミノ酸が多量に含まれることが期待される汚れ層に注目して解析した。その結果、アミノ酸としては、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン、フェニルアラニンが確認された。これらのD/L比について測定したところ、濃度が高い汚れ層よりも薄い汚れ層のほうがD/L比が大きいことが判明した。このことは同氷河上では、その場において生物が活発に繁殖してL型アミノ酸を生産しており、濃度の濃い層はそのためにD/L比が減少しているものと解釈される。濃度の薄い層は、おそらく既に死滅して大きいD/L比をもつアミノ酸を含む生物体の破片等が氷河上に落下したものではないだろうか。したがって、アミノ酸のラセミ化反応を利用してコアの年代推定を行うためには、積雪表面(初期)におけるD/L比を把握することが必要であることが明らかになった。 上記の発見は、アミノ酸のD/L比が、過去の生物活動の活発さの指標になることを示唆している。積雪表層では微生物の個体数を測定することによって生物活動の活発さを復元した例はあるが、深くなるにつれて細胞が破壊されて観察不可能になると報告されている。その点、微生物の個体数のカウントが不可能なほど深い場所から採取した試料でも、アミノ酸を測定することによって過去の生物活動活動の状態が復元できる道を拓いたことになる
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