研究課題/領域番号 |
12878120
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大場 哲彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10250664)
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研究分担者 |
大木 和夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80115394)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 生体膜の膜流動性 / 時間的・空間的変動 / 蛍光顕微鏡 / 偏光制御 / CHO細胞 / アポトーシス / 相分離 |
研究概要 |
1. Mueller行列を用いた蛍光異方性イメーシンク法の改良 脂質二分子膜リポソームでの実験と理論的考察から、通常観測している「蛍光異方性」には、色素の回転拡散に起因する偏光解消の他に、膜部分の複屈折性のために、直線偏光と円偏光の変換に起囚する偏光解消が含まれていることが明らかとなった。この複屈折性の効果は膜の多重性に比例して増大するので、場合によっては、回転拡散による偏光解消と同程度になる。また、通常の分光器による巨視的測定の方が、顕微鏡下での微視的測定より大きく現われる。これまでの膜を対象とした蛍光異方性の測定では、この効果を正しく考慮されているものはなかったため、多くの結果を見直す必要があるかもしれない。我々のMueller行列を用いた方法では、原理的には、円偏光性まで含めて、4×4のMueller行列を扱うことで、ふたつの効果を分離して同時に計測可能である。そのための実装として、昨年度の理論的検討をもとに、試料の4×4のMueller行列測定に必要な偏光を、現在市販されているFLC1/2波長板スイッチ2個と固定1/4波長板の組み合わせで実現しようとしたが、現在のところ、互いに線型独立な良質な偏光状態は取り出せていない。実現には、もう少し時間が必要である。 2. 脂質二分子膜リポソームの相分離生成のダイナミクス DMPC/DMPE系の相分離生成過程(高温の液晶状態から低温のゲル状態への冷却過程)を、昨年度開発したビデオレートイメージング法で観察した。その結果、1)急冷した場合には、ほぼ100%相分離は生じない、2)徐冷の場合には、大きな相分離が生成する時としない時がある、3)相分離が生成するか否かは、リポソームの形状とラメラリティに依存している、などが明らかとなった。リポソームの相分離の静的な観察はこれまでにも報告があるが、動的な相分離生成過程を、光学顕微鏡で可視化したのは、世界初である。 3. アポトーシス過程での膜流動性変化の観察 CHO細胞を用いて、過酸化水素で誘導したアポトーシス過程での、膜流動性変化を観察した。過酸化水素処理時間に応じて、種々のアポトーシスの指(Caspase3活性〜6時間、DNAラダー〜12時間、核の形態変化〜24時間)が変化したが、膜流動性の変化はそれらより早く現われ、処理開始直後に流動性の低下が起こり始め、2時間で変化は完了した。ただし、この変化は、過酸化水素が直接的に膜に作用して引き起こしている可能性もあるため、アポトーシスとの関連については、更に検討が必要である。
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