研究課題/領域番号 |
12878132
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
沓掛 和弘 岡山大学, 理学部, 教授 (90143362)
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研究分担者 |
吉本 明弘 広島大学, 生物生産学部, 教授 (40240361)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 細菌鞭毛 / 病原性因子 / タイプIII輸送系 / クロストーク / 転写制御 |
研究概要 |
グラム陰性細菌のタイプIII蛋白質輸送系は、病原性因子の細胞外輸送系として知られている。この輸送系の阻害剤が開発できれば、タイプIII輸送系の機構の解明に役立つとともに、感染症の治療薬としても有用である。我々は長年細菌鞭毛の構築過程の研究を行ってきたが、鞭毛蛋白質に特異的な輸送系もタイプIII輸送系として知られている。そこで本研究は、鞭毛蛋白質輸送系を利用することにより、タイプIII輸送系に特異的な阻害剤をスクリーニングすることを目的として計画された。以下に述べるように、当初の目的とは異なるものの、本研究は非常に重要な事実の発見につながり、期待以上の成果が得られた。 1.鞭毛蛋白質輸送をモニター系として利用することにより、タイプIII輸送系阻害剤のスクリーニング用菌株の構築を行い、吉本が保存する微生物由来の二次代謝産物について、阻害活性を示す物質のスクリーニングを行った。現在スクリーニング途上であるが、現在のところ、まだ有望な物質は得られていない。 2.鞭毛クラス2オペロン群に特異的な正の転写制御因子FliZが病原性遺伝子群SPI1の病原因子の分泌に大きな影響を及ぼすことが判明した。この制御は、SPI1の脱抑制遺伝子hilDの転写活性化を介していることが示され、鞭毛レギュロンと病原性レギュロンの間にクロストークがあることが明らかになった。実際、fliZ欠損株は宿主細胞への侵入能が著しく低下していることが示された。 3.一方それとは逆に、SPI1によってコードされている病原因子SipAの遺伝子がマルチコピーで存在すると、鞭毛クラス2オペロン群が著しく活性化されることが判明した。このことは、SipAが高発現する条件では鞭毛形成も促進されることを意味しており、両レギュロンの間のクロストークと考えられる。
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