研究概要 |
近年,子どもや家庭を取り巻く状況の変化に伴い,延長保育,一時預かり保育,子育て支援センターなど多様な保育ニーズに対応するために,保育所の役割が強化されている.そのなかで,障害幼児を受け入れる保育所の増加やさまざまな子どもの問題に対処する必要性に迫られている。障害幼児の療育の場とされていた既存の各種施設はその数や資金において地域間格差が顕在化しており,そのため各地で独自の早期療育のシステム化を図るところが増加している.このように,今日保育所は健常児にとっての保育施設というのみではなく,近年増加している子育て支援センターなどの機能も併せ持つところもあり重要な地域の療育施設であるといえる。しかし,実際に保育所を中心とした地域療育のあり方について検討した報告はいまだ少ないのが現状であった。したがって本研究では,保育所をベースとした地域療育のあり方について,特に東広島市をケーススタディとして子育て支援センターの活動と、大学研究機関との連携について検討した。 東広島市においては、現在A保育園(平成10年開始)、B保育園(平成12年4月開始)、C保育園(平成12年6月開始)の3園を中心に子育て支援センターが開設されている。そのほかに、電話相談を行っているD保育所(昭和61年開始)、さらにはインターネットを利用した保育相談を行っているE保育園(平成11年10月開始)、また東広島市保健センター(以下、保健センターとする)が子育て支援事業に関わっている。今回、広島大学教育学部附属幼年教育研究施設では、東広島市福祉部社会課(以下、福祉部とする)の協力を得て、子育て支援センター担当者の連携強化を目的に、東広島「子育て支援」連絡協議会(以下、協議会とする)を設立し、平成12年8月に第1回、平成13年3月までに計3回を開き、日常の行われている子育て支援や事例報告や検討ができる機会とした。そのなかで、子育て支援センター専門員の相談事例を集約した「子育て支援相談事例集」も刊行した。また東広島市福祉部と連携し、子育てをする母親に便利な情報パンフレット「東広島子育て支援リーフレット」も作成した。 大学等の専門家の地域支援が強く求められている近年、実際の子育て支援機関、行政との連携はケーススタディとしても有用であり、今後のより一層の連携の強化と継続が望まれた。
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