研究課題/領域番号 |
12897009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 企画調査 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永井 良三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60207975)
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研究分担者 |
中島 利博 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 助教授 (90260752)
森下 竜一 大阪大学, 医学部, 助教授 (40291439)
佐藤 靖史 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178779)
北 徹 京都大学, 医学部, 教授 (60161460)
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2000年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 血管 / 内皮 / 平滑筋 / 遺伝子治療 / 動脈硬化 / 遺伝子発現転写調節 |
研究概要 |
本研究は、血管の発生分化と病態形成を解明することを目的としている。具体的には、血管の発生、新生、老化、動脈硬化に関わる遺伝子の単離同定、血管ストレスに応じて活性化されるイオンチャネルやシグナル伝達系、さらに遺伝子転写機構の解明を通して血管病の病態を解明し新しい治療法を開発することを目的としている。 本年度は、次の8課題を設定した。1)血管平滑筋細胞で発現する転写因子の解析:平滑筋細胞の脱分化形質への変換の分子メーカーに位置づけられるミオシン重鎖SMemb遺伝子の転写制御に関わる転写因子BTEB2の機能解析を通して、BTEB2の転写誘導の機序解明ならびに活性化するシグナルの解明、さらにBTEB2が再狭窄病変の発症に密接に関わっていることを解明した。2)血管新生の分子機構:転写因子Ets-1の内皮細胞アポトーシスに及ぼす影響を検討し、内皮細胞の発生分化及び死を通した血管新生の分子機構を明らかにした。3)血管新生療法の開発:血管再生を増強する治療戦略として、HGF遺伝子導入により再生された血管を拡張・維持することが重要であるとの視点で、血管拡張物質であるプロスタサイクリンを合成するPGI2合成酵素遺伝子との共導入を行った。HGF遺伝子による血管再生は、PGI2合成酵素遺伝子との共導入により、血管数及び血流ともに単独投与に比べ有意な増加を示した。4)血管細胞増殖に関わる転写調節機構とコファクターの分子機能:転写統合装置機能をモニターするために、アセチル化リジン抗体を作製した。本抗体を用い、動脈硬化症などの病巣組織の核内アセチル化の程度を検証した結果、動脈硬化症の病巣血管平滑筋細胞では核内アセチル化シグナルが有意に亢進していることを発見した。また、血管平滑筋細胞に比較的特異的発現している新規転写因子POD-1/Capsulinのクローニングとその機能解析を行った。5)血管細胞のイオンチャネルの分子機能:血管平滑筋細胞の増殖と関わる新規カルシウム透過性チャネル遺伝子を同定した。CD20チャネルと相同性のある新規チャネル分子で、非選択性の陽イオンチャネルとしての機能を有し、また血清により活性化されるという性質を有していた。6)酸化LDL受容体遺伝子の発現調節:リン脂質リゾフォスファチジルコリンが転写因子Egr-1で制御されるPDGF-A鎖遺伝子プロモーターの転写活性を増加させ、またこの部位に結合することを示し、同遺伝子の発現誘導が、動脈硬化での一連の遺伝子転写を担う鍵である可能性が示唆された。7)単球泡沫化の分子機構:細胞接着分子VCAM-1の発現誘導阻害剤を開発し、その作用メカニズムの解析の結果、TNFα刺激によるVCAM-1発現に転写因子GATAが関与することを見出した。GATAと結合する因子の探索を2-Hybrid法でスクリーニングを行った結果,WTAP(WT1-Associated Protein)を同定した。8)klotho遺伝子の制御と機能:Klothoの存在様式と機能解明を目的に、抗体作製、蛋白質精製、ならびに酵素活性の有無を検討した。さらに、Klothoファミリー因子を同定し、今後個体老化におけるklotho因子群の役割について検討する。
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