研究課題/領域番号 |
12CE2004
|
研究種目 |
特別推進研究(COE)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
|
研究分担者 |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
安藤 恒也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90011725)
藤田 博之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90134642)
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
平本 俊郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20192718)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
1,706,900千円 (直接経費: 1,463,000千円、間接経費: 243,900千円)
2004年度: 299,000千円 (直接経費: 230,000千円、間接経費: 69,000千円)
2003年度: 364,000千円 (直接経費: 280,000千円、間接経費: 84,000千円)
2002年度: 393,900千円 (直接経費: 303,000千円、間接経費: 90,900千円)
2001年度: 310,000千円 (直接経費: 310,000千円)
2000年度: 340,000千円 (直接経費: 340,000千円)
|
キーワード | 量子ドット / ナノ構造 / 電子の波動性 / 零次元電子 / 単電子効果 / 量子ドットレーザー / 量子ドットメモリー / 量子ドット検出器 / 量子ドットレーザ |
研究概要 |
(1)量子ドット関連構造の形成と電子状態の制御に関する研究成果 (1-1)InAs系量子ドット:成長条件や被覆層の組成の最適化を進め、光通信に整合した1.5μmでの発光と、狭い蛍光線幅(〜16meV)を持つドットを実現した。また、GaAs層による埋込みをしない表面ドットが電子を蓄積し、電気的に活性であることを見出した。 (1-2)GaSb系およびGaN系量子ドットとリング:成長プロセスを工夫すると、GaSbドットの代りに正孔のみを閉じ込める量子リング構造が自己形成できることを示した。また、GaSbドットをSi中に埋め込んだ系で、電子の状態に直接遷移的要素が交じり、強い蛍光の生じることを示した。さらに、GaNドットの形状を調整し、電子正孔の分離度の制御に成功した。 (1-3)SiおよびGe系ドット:量子点接触素子内に自然にできるSiドットの形成法を検討し、2nm以下の極微ドットを実現した。Ge系ドットの寸法微細化と高密度化の道を開いた。 (2)量子ドットと関連構造の伝導特性と素子応用に関する成果 (2-1)Si単正孔トランジスタ(SHT)とInAs単電子トランジスタ(SET):SiMOS点接触構造内に自己形成するドットの微細化を進め、室温で40対1に及ぶクーロン振動と10対1を越す負性抵抗を示すSHTを実現、さらにGaAs表面の自己形成InAsドットを用いた新構造SETを実現、電子準位のシェル構造などを反映する特性を得た。 (2-2)ドット埋め込みABリング素子:ABリング構造の一部に量子ドットを埋め込んだ素子を調べ、電子の位相シフトに伴うFano共鳴を反映した伝導とドット内の電子のスピン状態に依存する位相緩和過程を見出した。 (2-3)量子ドット・量子細線アレー(列)の伝導特性:蜂の巣状のドット格子で、炭素ナノチューブと同様に電子散乱が抑制できること、量子細線列の伝導では、新規の磁気抵抗振動や電子の多体効果に由来する温度依存性を見出した。 (2-4)量子ドットメモリー素子:極薄または極細伝導路の近傍にInAsやSiのドットを配したメモリー素子で、伝導電子と局在電子の相互作用や情報処理応用の特色を解明した。 (3)量子ドットと関連構造の光物性と応用素子に関する成果 (3-1)量子ドットレーザと単一光子発生素子:自己形成InAs量子ドットを用い、温度安定装置無しでも10Gb/sの直接変調可能なレーザを実現、1.3μm帯での単一光子素子を実現した。GaN系ドットで、より高温での単一光子の発生を実証した。 (3-2)量子ドットと関連構造の光学特性の電界効果:GaN系ドットで、ピエゾ電界による電子・正孔の分離が強く効き、双励起子の発光が青方変位すること、自己形成GaSbドットやリングで電子・正孔間の引力とピエゾ電界が協業すること、InAsドットでの多体効果の電圧依存性に伴い電気光学効果が増すことを示した。また、量子構造での光による屈折率制御の特色も示した。 (3-3)量子ドットおよび関連構造での中赤外・THz帯光応答:量子ドット内の正孔の数を中赤外光の照射で増減させた高感度の光検出器を実現、バイアス印加の超格子をフェムト秒レーザで励起し、テラヘルツ帯での利得の存在や特色を示した。 (4)ナノ探針とマイクロマシンによる局所物性の評価と制御および新規ナノ物質の研究 (4-1)マイクロマシンおよびマルチナノ探針: カンチレバーの変形により、埋込んだドットに加わる歪みやフォトニック結晶構造の等価屈折率を変化させ、発光や透過スペクトルの制御に成功した。Siのマイクロマシン技術で複数のナノ探針を作り、液中のDNAの捕捉を可能とした。静電制御カンチレバーと光起電力素子を一体化した素子を開発し、光信号による変形を可能とした。InAsドットとその周辺表面電位に関し、新知見を得た。 (4-2)ナノ構造新規物質の物性と機能 探索有機分子をチャネルとするFETの形成法に工夫を加え、高い正孔移動度を実現し、さらに感圧素子や感光素子との一体化により、折曲げ可能な光センサや人工触覚(皮膚)機能を達成した。また、銀表面上の水素分子の核スピンの状態の制御や高感度検出を可能とし、量子情報応用のための基礎的知見を得た。鉄シリサイドやマンガン酸化物材料のナノ構造も形成し、物性上の特色を明らかにした。
|