研究課題/領域番号 |
12CE2007
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研究種目 |
特別推進研究(COE)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 寿人 (近藤 壽人) 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (70127083)
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研究分担者 |
濱田 博司 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00208589)
田中 亀代次 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80144450)
杉野 明雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (90231737)
辻本 賀英 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70132735)
米田 悦啓 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80191667)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,990,000千円 (直接経費: 1,690,000千円、間接経費: 300,000千円)
2004年度: 390,000千円 (直接経費: 300,000千円、間接経費: 90,000千円)
2003年度: 442,000千円 (直接経費: 340,000千円、間接経費: 102,000千円)
2002年度: 468,000千円 (直接経費: 360,000千円、間接経費: 108,000千円)
2001年度: 340,000千円 (直接経費: 340,000千円)
2000年度: 350,000千円 (直接経費: 350,000千円)
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キーワード | ゲノム情報 / 転写調節 / シグナル分子 / DNA複製 / DNA修復 / 細胞内物質輸送 / アポトーシス / ノックアウトマウス / 転写調節因子 / レチノイン酸 / DNA損傷 / インポーティン / 細胞分化 / SOX / POU / コケイン症候群 / DNA polymerase / ターゲティング / importin / XAB |
研究概要 |
本研究は、(1)それぞれの細胞が持つ核に与えられている一組の遺伝情報(ゲノム情報)がどのようにして読み出され、個体をつくるのか?(2)その個体では、ゲノムや細胞がうけるさまざまな損傷をどのように修復して健全な生命を維持するのか?という生命の基本問題に答えようとするものである。異体的な素機構(遺伝子複製・修復・転写、分化調節、アポトーシス、核 細胞質間輸送などに関するもの)の解析から出発しつつ、階層縦断的なアプローチからなる組織的な研究を実施して、個体の形成と個体生命の維持機構の全体像を示すことを目標とした。 平成16年度には、以下に述べる研究の進展がみられた。 1.分泌タンパク質Nodalとその阻害タンパク質の相互作用によって細胞内のSmad-FoxH1タンパク質複合体の活性が制御されて原始内胚葉領域が移動し、それが、胚の将来の脳(前側)部分を裏打ちして体の頭尾方向が決まることを示した。多系統のノックアウトマウスと高度の胚操作技術を駆使した。(濱田) 2.その過程の後、神経誘導のプロセスによって、SOX2転写調節因子遺伝子が発現を開始して、胚の中の将来の脳を規定しながら頭部側より尾部側に向かって発現領域を広げる。神経誘導の開始、また、異なった脳部域を制御する5種類のエンハンサーを見つけて、神経誘導および脳の部域化の各ステップを分析した。SOX2は単独で作用するのではなく、PAX, POUファミリーの転写複合体をつくり、それらの複合体がもつDNA結合と活性の特異性にもとづいて遺伝子群を制御することを示した。(近藤) 3.転写と共役したDNA修復に関与するXAB2蛋白質複合体を中心とした研究をすすめた。色素性乾皮症A群(XPA)蛋白質に結合する蛋白質であるXAB2を含む蛋白質複合体の精製を行い、分析した。XAB2蛋白質コア複合体は6種類の構成因子からなることがわかった。複合体構成因子の幾つかはスプライシング因子として知られているものであった。XAB2をノックダウンした細胞は、TCR能が低下し、紫外線高感受性となり、mRNAスプライシングにも異常を示した。XAB2が、TCR、転写、スプライシングに関与する多機能性蛋白質複合体の繋ぎめ的因子であることが示された。(田中) 4.DNA複製開始に必須な新しい蛋白複合体GINS(Sld5-Psf1-Psf2-Psf3の複合体)を分析した。この蛋白複合体は染色体複製に必須なDNA polymerase εと直接相互作用して、染色体複製開始反応を行っていることをin vivo及びin vitroで明らかにした。一方、この染色体複製開始を厳密に制御しているCdc7/Dbf4 protein kinase複合体の複製開始反応における機能解析を行い、Cdc7/Dbf4複合体がMcm2-7複合体に定量的に結合することが重要であることを明らかにした(杉野) 5.アポトーシス反応の惹起にかかわるミトコンドリア膜透過性の制御をノックアウトマウスを用いて解析した。ミトコンドリア膜透過性亢進に関わることが示唆されていたシクロフィリンDノックアウトマウスを作製した。このマウスのミトコンドリアは、Caなどにより誘導される膜透過性亢進現象を起こさないことを示した。また、ミトコンドリア膜透過性に関与する可能性を見いだした新規のミトコンドリア膜チャネルの機能の詳細な解析を実施した。(辻本) 6.転写調節因子の核局在化シグナル受容体であり、importin βと核蛋白質の結合を仲介するアダプダー分子であると考えられていたimportin αが、importin βと関係なく、それ自身の能力で核膜孔を通過できることを示し、輸送機構の多様性を明らかにしてきた。また、importin βの変異体を利用することにより、核膜孔の核内外通過において重要なimportin βの核膜孔複合体相互作用領域を決定することができ、核膜孔通過の方向性決定の理解に向けた研究を進めることができた。(米田)
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