研究課題/領域番号 |
12F02026
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
岩石・鉱物・鉱床学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平島 崇男 京都大学, 理学研究科, 教授
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研究分担者 |
OROZBAEV Rustam 京都大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
OROZBAEV Rustam 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2013年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2012年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 深部流体 / Makbal Comlex / 天山山脈 / キルギス / ローソン石 / 多相固体包有物(MSI) / LA-ICP-MS / 体流部深 / Makbal Complex,キルギス |
研究概要 |
前年度の研究で、Makbal Complex産のタルク・ザクロ石・クロリトイド片岩中の緑簾石+石英±藍晶石±Na雲母から成る多相固体包有物(MSI)の主要元素組成を復元し、これらMSIは母岩が超高圧変成作用を被った地下100km前後の深度ではローソン石であったが、母岩が地下60km程度まで上昇・減圧した際にローソン石がMSIに分解し、相当量の流体が上昇する超高圧変成岩から放出されたとの考えを提示した。今年度はLA-ICP-MS分析で取得した緑簾石の微量成分組成を文献データと比較検討し、斜長石から緑簾石に変成した場合と、ローソン石から緑簾石に変化した場合において、緑簾石の微量成分組成に違いがある事を見出した。これらの成果は2013年9月の国際エクロジャイト会議(イタリア)で講演するとともに、Lithos誌に投稿した。 Aktyuz Complex産エクロジャイトのザクロ石に包有されている十字石+Naに富む雲母+ヘマタイトから成るMSIの微量成分をLA-ICP-MSで分析した。その結果、MSI中には液相濃集元素であるCs, Rb, Ba, Pb, Li, Srとlight REEに富んでいることが判った。また、十字石はLi, CsとRbの, Naに富む雲母はBaとSrの主要貯蔵槽である事もわかった。これらのデータと母岩の形成条件から、上記のMSIは変成作用ピーク時に活動していた流体に由来するものと結論した。この成果は2013年5月の地球惑星科学連合大会(幕張)と上記の国際エクロジャイト会議で講演するとともに、現在、投稿論文を執筆中である。 Makbal Complexの高変成度部と低変成度部の岩石に対し白雲母のK-Ar年代測定を実施した結果、400-415Maの値を得た。この値は先行研究での高変成度部の報告値(480Ma)とは有意に異なっており、現在その原因を解明中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
沈み込むプレート周辺で発生する地震は沈み込む地殻物質から供給される水流体と密接に関連すると考えられている。しかし、我々の研究で、冷たい沈み込み場で形成された変成岩に含まれる含水鉱物は、地下深部から上昇する過程で脱水するとの新しい視点を提示した。この様な視点はこれまでの研究では見落とされていたものであり、この新知見は今後、地震学者からも注目を集めると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
オロズバエフ君は2014年5月末まで京都大学での滞在期間を延長し、Aktyuz地域のMSIの化学的特性とその成因についての投稿論文を執筆中である。 彼は、帰国後、キルギス科学アカデミーの職員に復職予定である。彼が参考としているMakbal Complexの地質構造は、彼のキルギスでの指導教員がソ連時代に実施した地質調査に基づいている。この調査の実験ノートとも言えるルートマップ類がKGBに没収されたため、基本データの確認ができずに困っている。今回の帰国にあたって、彼にはMakbal Complexや、Aktyuz Complexの地質構造をGPSや地形図を駆使して精密に再調査し、中央アジア造山帯におけるキルギス天山山地の地学的意義を明確にする様に進言してある。
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