研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、磁性酸化物(フェライト)薄膜の応用に関して、その極薄領域薄膜では、金の自己組織化下地層を用いた超高密度垂直磁気記録用パターン媒体の基礎的研究を行った。金下地層、特に金ナノドットを形成した場合、ナノドットでは基板加熱のための赤外線を吸収し高温になり、ドットのない部分では赤外線は透過(ガラス基板の場合)温度上昇が少ない。すなわち金ドット上では昇温が容易であり、フェライトの結晶化を選択的にできる。これによって自己組織化的に高密度記録が可能なパターン化媒体を形成しようとするものである。本研究では、直流マグネトロンスパッタ法ならびに高周波スパッタ法を検討した。前者では、100度付近で18nm程度のナノドットが形成されることが明らかになった。更に高温ではドット径は増加する結果になっている。この金下地層上にストロンチウムフェライト層を基板温度500℃前後で形成すると、磁気力顕微鏡ではドット状の磁区が観察される。またTEMで断面構造を観察すると、金ドット上では六方晶フェライトの格子像が、そして金ドットの無い部分では何も観察されず、非晶質状態であることが明らかになった。一方、後者では、原因は究明できてないが数ナノメートルの極微細な金スポットが形成できることが明らかになった。規則配列化に関しては不十分である。今後金ナノドット規則配列化条件の最適化が重要であり、薄膜形成時のバイアス電圧等を詳細に検討する必要がある。磁性層としてより低温形成可能なスピネル系薄膜の検討を行い、保磁力が数キロOeと言う高保磁力化に成功した。電波吸収体としての厚膜に関しては、スプレイコーティング法により、Y型フェロックスプレーの形成を確認している。しかしながら再現性に関しては十分な成果は得られてない。25年度半期は、スピネルフェライトのナノパーティクルに関する研究も行い、チップインダクターとして使用可能な特性の優れた微粉末を形成できた。
(抄録なし)
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Journal of Applied Physics
巻: 115 号: 17
10.1063/1.4865467
Journal of Alloys and Compounds
巻: 575 ページ: 145-151
10.1016/j.jallcom.2013.04.058