研究課題/領域番号 |
12F02080
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
生態・環境
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川北 篤 京都大学, 生態学研究センター, 准教授
|
研究分担者 |
HEMBRY DavidHoward 京都大学, 生態学研究センター, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2012
|
研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2012年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | カンコノキ属 / ハナホソガ属 / 海洋島 / 種分化 / ポリネシア諸島 / 絶対送粉共生 / 多様化 / 分子系統解析 |
研究概要 |
本研究は、密接な相互作用を持つ植物と昆虫が、大陸から遠く離れた太平洋上に点在する島々にどのように到達し、どのように多様化を遂げていったのかを明らかにすることを目的としている。小笠原諸島やハワイ諸島、ガラパゴス諸島、ポリネシア諸島のように、大陸と一度も陸続きになったことがない島を海洋島と呼ぶが、こうした島々では数百キロから数千キロの大海原を渡ることができた生物のみからなる、独自の生態系が成立しており、これらの生物がしばしば著しい適応放散を遂げている。我々はポリネシア諸島で広く見られるカンコノキ属植物とハナホソガ属ガ類の間の絶対送粉共生という関係に着目し、密接な共生関係を結んでいる両者がいかに海を渡り、どのようにポリネシアの島々で多様化してきたのかについて研究を行った。 今年度は東南アジアからポリネシア諸島にかけてのさまざまな地域から採集したカンコノキ属植物約80種、およびそれらの植物から得られた約50種のハナホソガ属のガについて分子系統解析を行った。その結果、ポリネシア諸島にカンコノキ属植物とハナホソガ属ガ類はそれぞれ狛立に渡っていること、ポリネシア地域に植物は一度しか侵入を果たしていないが、送粉者は少なくとも2度独立に渡っていることが明らかになった。また、両者の系統樹の比較から、植物と送粉者の種分化は互いに独立して起こっていることが分かった。これは、従来考えられてきた種分化モデルとは大きく異なるパターンであり、本研究の重要な成果の一つである。今後、両者の種分化プロセスを詳細に調べていくことで、海洋島における生物の適応放散について新しい理解が得られるであろう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、カンコノキ属とハナホソガ属がどのようにポリネシア諸島へ進出したのかについて、分子系統解析から一定の理解が得られた。得られた成果は論文とじて学術雑誌に掲載が予定されている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では分子系統解析を用い、カンコノキ属とハナホソガ属の移動分散や多様化のパターンを明らかにすることができたが、両者がどのように多様化するのかといったプロセスの部分については解明できていない。今後は綿密な操作実験や集団遺伝学的な解析を通して、密接な相互作用をもつ植物と昆虫がどのように海洋島で多様化を遂げていったのかを明らかにしていく予定である。
|