研究課題
特別研究員奨励費
アフリカの経済的に恵まれない人々を苦しめているアフリカ睡眠病は、アフリカ型トリパノソーマによって引き起こされる感染症である。本研究は、Structure Based Drug Design (SBDD)による抗トリパノソーマ薬の創成を目指し、宿主内におけるトリパノソーマの嫌気的エネルギー代謝に関わっている酵素のうち、グリセロールキナーゼ(GK)を標的にした阻害剤の発見を目指している。平成24年度までに、東京大学創薬オープンイノベーションセンターの化合物ライブラリーから、理化学研究所・本間博士の協力によりインシリコスクリーニングで見出したGK阻害剤候補化合物を選び、その中でマイクロモルオーダー以上の阻害活性(IC_50)を示す化合物について、GKとの複合体構造を解析してSBDDに必要な阻害剤とGK間の相互作用を明らかにすることができた。一方、化合物ライブラリーから見出した阻害剤からスタートして創薬リード化合物へと設計を進めるためには、アフリカトリパノソーマGKに対する阻害活性を上げるだけでなく、ヒトGKを阻害しない化合物に設計する必要がある。そのためには、ヒトGKとの複合体構造も知ること欠かせない。そこで、ヒトGKの大腸菌を使った大量発現系の構築を試みた。その結果、SUMOタグを付けたヒトGKを発現させることに成功した。精製は、大腸菌破砕液上清中のSUMOタグ付ヒトGKをNi-NTAカラムに結合させ、爽雑タンパク質を洗い流した後、プロテアーゼでSUMOタグを除去し、再びNi-NTAカラムを通すことで、純度90%程度のヒトGKをICの大腸菌培養液から約4.5mg得られた。次に、この精製ヒトGKに対して結晶化条件をスクリーニングし、沈澱剤としてMPDを使うことで結晶化に成功した。今後、ヒトGKについても複合体構造を解析して行く予定である。
(抄録なし)
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