研究課題/領域番号 |
12F02105
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
玉木 長良 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授
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研究分担者 |
ZHAO Yan 北海道大学, 大学院医学研究科, 外国人特別研究員
ZHAO Yan 北海道大学, 大学院・医学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2013年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2012年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 不安定プラーク / 18F-FDG-PET / 動脈血栓 / アンジオテンシン受容体拮抗薬 / プラーク安定化治療 / アポトーシス / 99mTc-annexin A5 / プロテオーム解析 |
研究概要 |
本年度に実施した研究の成果として : 1)我々は^<18>F-FDGを用いて、バルーン傷害ウサギモデルで動脈硬化プラークの画像化及び不安定性評価における実用性を確認した。実際動脈硬化病変の破綻による動脈血栓の形成を評価項目に取り入れ、動脈硬化病変への^<18>F-FDG集積と動脈血栓形成との関連性を明らかにした。^<18>F-FDG-PETによる動脈硬化巣の血栓形成能を評価する可能性を証明し、この成果はCirculation Research誌に掲載された。2)我々は動脈硬化病変での組織因子の発現量と炎症細胞の糖代謝/核酸代謝/低酸素状態との関連を調べた。研究の結果として、組織因子の上流因子である炎症転写因子NF-kBは病変内低酸素領域内での高く発現し、低酸素に陥る炎症細胞に解糖系代謝産物の増加や細胞増殖の亢進を明らかにした。低酸素状態の発生は動脈硬化病変お不安定性に寄与することを証明し、その機序を解明した。この成果はPLOS ONE誌に掲載された。3)動脈硬化病変における分子・機能変化に関与した治療法として、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を選出した。我々は多種類のARBの中から、高血圧患者によく利用されるテルミサルタンを選択し、ApoE欠損マウスへの混餌投与を行った。テルミサルタン治療による動脈硬化病変の減少・病変の安定化、また治療効果に応じた^<99>Tc-annexin A5の病変集積の低下も認められた。ARBによる動脈硬化進展の抑制作用の機序を解明するとともに、^<99>MTc-annexin A5によるプラーク安定化治療の薬効評価の実用性を検証した。この成果はMolecularImaging誌に掲載された。4)ARB治療による血圧や腎機能の変化はプローブの体内動態を変化させ、診断・評価を複雑にさせることもある。そのため、RIの血中濃度や腎機能の指標等をモニターすることにより、影響の有無・強弱を把握する必要がある。場合によって、プローブ投与時に一時的な休薬や、病変へのプローブ集積を血中濃度や他の組織への集積と比較・解析することにより、これらの影響を排除・補正を施す工夫も必要となる。我々はC57BL/6jマウスを用いて、核医学の臨床検査で最も汎用される^<18>F-FDGを利用し、ARB投与による血中・臓器での^<18>F-FDG濃度変化について検討した。この成果はJournal of Nuclear Medicine誌に掲載された。5)上記二つ研究の結果を踏まえて、イルベサルタンの抗動脈硬化作用について、核医学的手法を用いた検討した。イルベサルタン治療による動脈硬化モデルにおける病変の減少・病変炎症程度の緩和・アポトーシス頻度の低下が認められた。またイルベサルタン治療による病変への^<18>F-FDGと^<99>Tc-annexin A5の集積の低下も認められ、イルベサルタンによる動脈硬化進展の抑制作用の有効性を検証できた。このように核医学的画像診断法による薬効評価の実用可能であることが示唆された。この成果はPLOSONE誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の目的は明白であるため、目的に適した実験方法の選出と実施ができた。研究を行う前に、十分な情報収集を行われたため、先行研究で得られた経験を生かして、計画通りに研究を進めることができた。そのため、新規性及び実用性の高い研究結果を得られて、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり以上に研究が進展したため、すべての研究内容を完了することができた。今後の予定として、小動物用FDG PETTを用いたWHIHL動脈硬化自然発症モデルウサギにおけるイルベサルタンの治療効果評価に関する研究成果を英文論文として発表する。
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