研究課題
特別研究員奨励費
沖縄県石垣島・吹通川マングローブ域での現地調査により、マングローブ種構成と分布、地上部・地下部のバイオマス量、それらから換算した炭素量、葉や枝、幹といった各部位毎のバイオマス量のデータを取得した。このマングローブ林はほぼオヒルギ(Bruguiera gymnorrhiza Lamk.)とヤエヤマヒルギ(Rhizophora stylosa Griff.)の2種から構成され、各々の総バイオマス量は炭素換算で195t/ha, 242t/ha、森林全体では437t/haであった。これらの数値は既存の報告例と比較するとはるかに大きな値である。また上記調査では、土壌中の有機物量と、冠水時間・土壌湿度・河口からの距離といった物理量との関係を調べ、土壌中の有機物量が海側から陸側に向かって減少することを見いだした。そして、土壌中の有機物量は土壌湿度および冠水時間と高い正の相関を持ち、ORP(酸化還元電位)と高い負の相関を示した。このことは、今後海面上昇により冠水時間や土壌湿度が上がるとマングローブ堆積物中の初期続成作用に変化が生じ、土壌中に蓄えられる有機物量や周囲への栄養塩フラックスにも変化が生じる可能性を示唆している。上記と並行して、複合環境要因変動下でのマングローブ生態系のブルーカーボン動態に関するモデル開発を進めた。ベースとなる生態学的モデルとして陸上森林に関するSEIB-DGVMを採用し、それにマングローブ林の特性を組み込む形で、マングローブ木密度の時間変化をシミュレーションできるようにした。またマングローブ内での水理学的特徴をDelft-3D modelを用いて再現した。土壌中の炭素量の推定には、堆積物中での続成作用や生物撹乱を取り込んだモデルを開発した。以上のモデル群を統合し、ブルーカーボン動態モデルの初期バージョンを作成し、現地データを用いて検証をした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Forest Science and Technology
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Proc. of the Intl. Conf. on Advances in Applied Science and Environmental Engineering- ASEE 2014
巻: ー ページ: 44-48