研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、樹状細胞(DC)の抗原提示能および免疫活性化能を高めるとともに癌組織内の微小環境を細胞性免疫の活性化に有利なものに改変し、併せてDCによる癌免疫治療の治療効果を向上することを目的とし、今年度においては、以下の成果を得た。①DCの抗原提示能および免疫活性化能の亢進:がん免疫の主体であるCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化するには、DCの主要組織適合抗原(MHC)のクラスI分子上に抗原を提示する必要がある。本研究では、低pHによって融解するpH感受性ポリマーを含むリポソーム(pH感受性リポソーム)で抗原を内包し、エンドソーム内の低いpHによってリポソームとエンドソームの膜融合をおこさせ、エンドソームから細胞質への脱出効率を高め、それにより、HMCクラスI分子上への抗原提示効率を著しく高めることができた。さらにpH感受性リポソームにDC選択性トル様レセプターリガンド(TLR-L)を組み込みDCの抗原提示能と免疫活性化能を同時に高める新薬を開発した。抗原として卵白アルブミン(OVA)を新薬で内包し、これを作用させたDCによって、マウス体内に移植したOVAペプチドを提示する腫瘍株E.G7の増殖を抑制することに成功した。②サイトカイン遺伝子の導入による腫瘍微小環境の改変:マウスIFNγ遺伝子を人工ベクターによって同系マウス体内に移植し増殖させた腫瘍細胞株に導入した後、腫瘍抗原を提示させたDCを腫瘍内に注入して腫瘍の増殖に対する抑制効果を検討した。マウスIFNγ遺伝子を内包した人工ベクターを腫瘍内あるいは静脈内に投与したマウスでは、DC治療によってより効果的な腫瘍の増殖抑制が認められた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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