研究概要 |
成形シミュレーションを援用したトライレス生産の達成が熱望されている. 成形シミュレーションの精度向上のためには, 材料構成則の妥当性を検証するための高精度な材料試験法の確立が必須である. 本研究では, Coppieters博士が開発したDIC (Digital Image Correlation, デジタル画像相関法)によるひずみ計測システムを, 当研究室が開発した二軸応力試験システムに組込み、世界最先端の二軸応力試験装置を開発することを目的とした. 1. CoPPieters博士が開発したDICシステムを, 十字形試験片を用いた二軸引張試験方法に適用した。その結果, DICによる応力の測定誤差は2%未満であり、実用上十分な測定を有することが確認できた。 2. 金属板材の異方硬化モデルの基礎研究として, 以下を実行した. (i)異方硬化モデルを有限要素解析ソフトウェアに導入するための基礎理論と参考文献の調査. (ii)J2塑性変形理論にリターンマッピング法を適用して, 平面応力問題や軸対称問題を解くためのアルゴリズムを構築. (iii)上記手法を用いて, 測定されたひずみ場から応力場を逆算するアルゴリズムを開発. (iv)異方硬化モデルを有限要素解析ソフトウェアに導入. 3. 上記1および2で達成した研究成果を, 3次元板材成形の測定と解析に応用すべく、アルゴリズム開発などの基礎研究を進めた。その妥当性検証の手始めとして、単軸引張試験における拡散くびれ内部の板材の変形挙動を測定・解析する手法を開発し, 拡散くびれ以降の板材の加工硬化特性(真応力―対数塑性ひずみ曲線)を精密に同定する手法を考案した.
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