研究課題
特別研究員奨励費
本年度は昨年度に引き続き、海洋性アナモックス細菌の生理学的特性について詳細な知見を得ることを目的として研究を進めた。対象とする項目は、鉄、マンガン、硫酸などであり、アナモックスプロセスとは異なる代謝の確認及びそのポテンシャルの把握である。これらの項目について明らかにすることは、アナモックスプロセスに必要なアンモニウム及び亜硝酸性窒素が不足する海洋環境中で何をエネルギー源として生息しているかが明らかになり、地球規模での窒素循環に関して必須であると思われるパラメータの一つを具体的に示すことが可能となると考える。まず、海洋性アナモックス細菌のマンガン酸化プロセスは今回の試験においては確認できなかった。この点については、試験条件の検討が必要と考えられ、最適な環境下での試験を行う必要がある。次に、マンガン還元プロセスであるが、他の細菌とオーダーレベルでは同程度であることが明らかとなったが、用いたバイオマスのアナモックス細菌優占度が低いために過小評価になった可能性がある。また、試験条件の最適化も必要と考えられる。鉄の還元速度は他のアナモックス細菌と比較しても非常に小さく、海洋環境で生存戦略としている可能性は低いと考えられた。一方で、硫酸還元はこれらのプロセスより速度が大きく、今回の試験項目においては一番可能性の高いプロセスであることが示唆された。今後の展開としては、デンマーク王国オルポー大学に出張中に得た技術であるHeterotorphic MAR-FISHを用いてこれらのプロセス進行中にアナモックス細菌が増殖出来るかを明らかにすることで、自然環境中の存在量や活性と今回得られた結果をリンクすることが可能になると考える。
(抄録なし)
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
Applied and Environmental Microbiology
巻: 79 号: 13 ページ: 4145-4148
10.1128/aem.00056-13
Microbes and environments
巻: 28 号: 4 ページ: 436-443
10.1264/jsme2.ME13077
130003382022
Water Science and Technology
巻: 66 号: 5 ページ: 958-964
10.2166/wst.2012.234