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ユルスナールにおける美術と文学-作家の蔵書研究を通して

研究課題

研究課題/領域番号 12J00493
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 ヨーロッパ文学(英文学を除く)
研究機関東京大学

研究代表者

村中 由美子  東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2012 – 2013
研究課題ステータス 完了 (2013年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードマルグリット・ユルスナール / 20世紀フランス文学 / ユルスナール
研究概要

本年度は主に、前年度に米国で調査・収集済のユルスナールの蔵書への自筆メモの分析を行った。特に、文筆のキャリアを始めたばかりのこの作家がオスカー・ワイルド『獄中記』をどのように読んだのか、その痕跡は彼女の文学作品のなかにどのように見出されるのかについて考察した。ワイルドと関係の深いブルーストやジッドにも目配りすることで以下の三点が明らかになった。①ジッドとユルスナールのそれぞれが読んだ『獄中記』の版は異なっており、ユルスナールは削除部分がより少なく新しい版の『獄中記』とジッドによる既存のワイルド論を意識した上で、自身のエッセイのなかで新しいワイルド像を描こうとしている。②このワイルド像と、ユルスナールが初めて出版した小説作品『アレクシス、あるいは空しい戦いについて』(1929)の主人公は多くの点で重なることがテクストの分析から明らかである。ゆえに、ユルスナールが描こうとしたこの芸術家像のモデルとして、先行研究や作家自身が述べる実在の人物とは別に『獄中記』の作者としてのワイルドが挙げられる。③登場人物の造型だけでなく、ユルスナールの文学作品全体における世界観―世界は牢獄である―の源泉としても『獄中記』は重要である。これらの研究成果は、1930年代のフランス文学界におけるユルスナールの位置づけを再考する際に新たな視点を提供するものである。なぜなら、ユルスナール自身がジッドの影響を否定している事実から先行研究において両者の関係は看過されてきたが、彼女が『獄中記』の読書とワイルド論執筆の過程でジッドを意識し、のちにジッドについての講演も行っていることを考慮すると研究の余地はまだあるように思われるからである。以上の成果は、まずパリ近代テクスト草稿研究所(ITEM)の若手研究者セミネールにて口頭発表された。続いて別府大学で行われた日本フランス語フランス文学会秋季全国大会にて口頭発表の形で提示された。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

報告書

(2件)
  • 2013 実績報告書
  • 2012 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Le Demon de l'intemporalite ou la strategie de Marguerite Yourcenar envers la notion de contemporain2014

    • 著者名/発表者名
      村中 由美子
    • 雑誌名

      Revue Mosaique. Revue de jeunes chercheurs en sciences humaines

      巻: (印刷中)

    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Motif du miroir et representation de soi a travers L' CEuvre au noir et Le Labyrinthe du monde de Marguerite Yourcenar2013

    • 著者名/発表者名
      Yumiko Muranaka (村中由美子)
    • 雑誌名

      フランス語フランス文学研究

      巻: 102号 ページ: 105-120

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] オスカー・ワイルド『獄中記』を読むユルスナール2013

    • 著者名/発表者名
      村中 由美子
    • 学会等名
      日本フランス語フランス文学会秋季全国大会
    • 発表場所
      別府大学(大分県別府市)
    • 年月日
      2013-10-26
    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
  • [学会発表] マルグリット・ユルスナールにおける美学的視点 : エッセイ『美術通りのワイルド』の生成過程と、変遷する思考の痕跡としてユルスナールがオスカー・ワイルド『獄中記』に残した読書メモ2013

    • 著者名/発表者名
      村中 由美子
    • 学会等名
      パリ近代テクスト草稿研究所(ITEM)若手研究者セミネール
    • 発表場所
      パリ近代テクスト草稿研究所(フランス)
    • 年月日
      2013-05-22
    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
  • [学会発表] <Le Doyau de l'eclture dans la lecture : Maguerite Yourcenar lisant de profundis d' Oscar Wilde>(読書におけるエクリチュールの核 : オスカー・ワイルド『深海より』を読むマルグレット・ユルスナール)2013

    • 著者名/発表者名
      村中由美子
    • 学会等名
      <Ecriture Making-of) Colloque international Jennes Chercheurs en Critique Cenetique (生成研究における若手研究者の国際コロック)
    • 発表場所
      ベルギー(ルーヴァン・カトリック大学)
    • 年月日
      2013-03-15
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] 見出されたフランドル-ユルスナール『黒の過程』(1968)における絵画をめぐって2013

    • 著者名/発表者名
      村中由美子
    • 学会等名
      第43回ベルギー研究会
    • 発表場所
      ベルギー(神戸大学ブリュッセルオフィス)
    • 年月日
      2013-02-07
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] 鏡のモチーフと自己表象-ユルスナール『黒の過程』とフランドル絵画を中心に2012

    • 著者名/発表者名
      村中由美子
    • 学会等名
      日本フランス語フランス文学会2012年度春季大会
    • 発表場所
      東京・東京大学本郷キャンパス
    • 年月日
      2012-06-03
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書

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公開日: 2013-04-25   更新日: 2024-03-26  

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