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中枢神経損傷後の神経軸索伸長やシナプス形成におけるチロシン脱リン酸化酵素の役割

研究課題

研究課題/領域番号 12J00543
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 神経科学一般
研究機関大阪大学

研究代表者

田中 貴士  大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2012 – 2014-03-31
研究課題ステータス 採択後辞退 (2013年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード脳損傷 / SHP-1 / 皮質脊髄路 / 側枝形成 / 運動機能回復 / 側枝形成(sprouting)
研究概要

損傷を受けた中枢神経系の回復は、非常に限定的であることが知られている。その要因として、神経軸索に対する伸長阻害因子の存在および神経軸索自体の伸長能力の欠如が報告されている。本研究では、上記二要因の双方に関与すると考えられるチロシン脱リン酸化酵素(SHP-1)に着目し、SHP-1の機能を抑制することで脳損傷後の皮質脊髄路の再構築が促されるか否かを検証した。
健常な野生型マウスにおいてSHP-1の発現を免疫染色により確認したところ、神経細胞でSHP-1の発現が認められた。本研究では、脳損傷後の代償性神経回路の再構築に着目しているため、脳損傷後においても無傷である非損傷側の大脳皮質~脊髄を評価した。まず脳損傷後の非損傷側におけるSHP-1のタンパク量および脱リン酸化酵素活性の変化を評価した結果、野生型マウスの大脳皮質において脳損傷後3~7日にSHP-1の発現量や活性の増加が認められた。これにより、脳損傷後のSHP-1の発現量および活性の増加が代償的神経回路の形成を妨げている可能性が考えられたため、SHP-1ノックアウトマウスやSHPの阻害剤を用いて、神経回路の評価を行なった。脳損傷後、非損傷側の皮質脊髄路を標識することで軸索の側枝形成の程度を評価した結果、側枝の数は野生型マウスと比較してSHP-1ヘテロ欠損マウスで顕著な増加が認められた。また、SHP阻害剤を非損傷側の大脳皮質へ投与したマウスにおいても、コントロール群と比較して側枝の増加が認められた。最後に、SHPの抑制によって得られた神経軸索側枝の増加が運動機能の回復に寄与しているのか否かを運動機能評価によって検証した。脳損傷後から4週間にわたり野生型およびSHP-1ヘテロ欠損マウスの前肢運動機能の回復過程を評価した結果、SHP-1ヘテロ欠損マウスにおいて運動機能の回復が有意に認められた。
以上の結果より、SHP-1を抑制することで脳損傷後の代償性神経回路の再構築が促され、運動機能の回復が得られることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究により、チロシン脱リン酸化酵素であるSHP-1の機能を抑制することで脳損傷後の代償性神経回路の再構築が促され、運動機能回復が得られることが示された。本研究は2013年4月4日にCell Death & Disease誌に掲載され、本研究の目的であった、脳損傷後の神経軸索伸長におけるSHP-1の役割を解明することができた。

今後の研究の推進方策

中枢神経損傷後の神経軸索伸長および側枝形成におけるチロシン脱リン酸化酵素SHP-1の役割は解明することができた。しかし、SHP-1は神経細胞以外での発現も認められているため、SHP-1が作用する細胞を特定する必要がある。
また、臨床応用にあたり、SHP阻害剤投与による子細な副作用などの検証も必要である。

報告書

(2件)
  • 2013 実績報告書
  • 2012 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Suppression of SHP-1 promotes corticospinal tract sprouting and functional recovery after brain injury2013

    • 著者名/発表者名
      Takashi Tanaka, Yuki Fujita, Masaki Ueno, Leonard D. Shultz, Toshihide Yamashita
    • 雑誌名

      Cell Death & Disease

      巻: 4 号: 4 ページ: e567-e567

    • DOI

      10.1038/cddis.2013.102

    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Suppression of SHP-1 promotes corticospinal tract sprouting and functional recovery after brain injury2013

    • 著者名/発表者名
      Takashi Tanaka
    • 学会等名
      The 43rd Annual Meeting of the Society for Neuroscience
    • 発表場所
      San Diego (USA)
    • 年月日
      2013-11-12
    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
  • [学会発表] チロシン脱リン酸化酵素SHP-1による脳損傷後の皮質脊髄路の可塑性制御2013

    • 著者名/発表者名
      田中貴士
    • 学会等名
      第14回 包括型脳科学研究推進支援ネットワーク夏のワークショップ
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県)
    • 年月日
      2013-08-31
    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
  • [学会発表] Downregulation of SHP-1 activity enhances corticospinal tract remodeling after brain iniury2012

    • 著者名/発表者名
      田中貴士
    • 学会等名
      第35回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県)
    • 年月日
      2012-09-19
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] 脳損傷後の皮質脊髄路再編成におけるSHP-1シグナル抑制の効果2012

    • 著者名/発表者名
      田中貴士
    • 学会等名
      第47回日本理学療法学術大会
    • 発表場所
      神戸ホートピアホテル神戸国際展示場(兵庫県)
    • 年月日
      2012-05-26
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書

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公開日: 2013-04-25   更新日: 2024-03-26  

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