研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、アンチセンス分子の体内動態を制御するために、アミド型BNA(Amido-Bridged Nucleic Acid : AmNA)のアミド基窒素原子上の化学修飾を実施し、脂質異常症、動脈硬化症、及び慢性腎臓病などの治療薬の創製を目指したものである。これまでの研究から、AmNAのアミド基窒素原子をメチル修飾することによって化学的安定性および、生体内安定性の向上を見出している。また、実際の医薬品としての利用を考えた際の臓器へ到達・蓄積に核酸の糖部2'位へのアルキル修飾が有効であるという知見から、AmNAのアミド基窒素原子上へ各種の置換基を導入することによってオリゴヌクレオチドの性質を変化させ、体内動態を変化させることができ得るかを検証した。種々の置換基Rを有するAmNA[NR]を合成し、8種類の誘導体を得ることに成功した。これらのAmNA[NR]をオリゴヌクレオチドへと導入した結果、オリゴヌクレオチド全体として相補RNA鎖に対する高い結合親和性を維持しながら、化学的安定性、酵素耐性を向上した他、置換基の種類によってオリゴヌクレオチドの脂溶性が変化するという知見を得た。これらの性質を示したAmNA[NR]搭載オリゴヌクレオチドのうち、疎水性の高い置換基を導入したオリゴヌクレオチドを用いて、in vivo実験を行うことにより、オリゴヌクレオチドの体内動態および薬効を評価した。その結果、薬効との相関は十分認められなかったものの、AmNA[NR]搭載による脂溶性の付与が、臓器移行性を向上させることが示された。本研究により、」AmNA[NR]が相補RNA鎖に対する結合親和性と、生体内酵素に対する安定性を併せ持つ機能性核酸素材であるとともに、これまでアンチセンス医薬開発の壁となっていたオリゴヌクレオチドの臓器へのデリバリー問題を解決しうる機能性を有することを見出した。
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ChemBioChem
巻: vol.13 号: 17 ページ: 2513-2516
10.1002/cbic.201200506