平成25年度は、細菌を対にして1. フィルターを用いた簡易総菌数検査、ならびに2. 抗原抗体反応を利用した特異的な検出を行った。その中で、より微細な周期構造の利用が有用であることが明らかとなったものの、開口よりも大きいターゲットの定量可能性を評価する必要が生じたため、3. 花粉を用いた定量可能性の評価を行った。 1. フィルターを用いた簡易総菌数の定量 細菌を捕集可能な精密濾過用のメンプレンフィルターはテラヘルツ帯で吸収ロスが非常に小さく、基材として適していることが確認された。また細菌を捕集したメンブレンフィルターを金属メッシュに密着させることで菌数に応じた透過スペクトルの系統的な変化が見られ、1.5×10^5/mm^2以上の菌数を検出することに成功した。また異なる寸法の金属周期構造体を用いて同様に検出を行い、寸法によって検出感度が異なることが確かめられた。また電磁界解析を用いて細菌のサイズ(1μm×2~3μm)を検出するのに最適な寸法の金属メッシュを検討した。 2. 抗原抗体反応を利用した特異的な検出 食品中に含まれる細菌の簡易菌種同定検査をめざし、金属メッシュ表面に抗体を固定してターゲット選択性を付与し細菌の定量を行った。表面の選択性を持たせる分子プローブにはシラン、マレイミド等を介してターゲットと反応する抗体を固相化したものを用い、金属メッシュは周期が約30μmのものを用いた。その結果、10^5/mL以上の菌濃度を有意に検出できた。 3. 花粉の定量評価 花粉を金属メッシュ表面に付着した状態で透過スペクトルを測定した。金属メッシュ本来の透過スペクトルに対し、花粉が付着するとその花粉数に応じて共鳴ピークに減衰が見られ、従来の変化(周波数シフト)とは違う傾向が見られた。またピークの減衰量から花粉数が定量できることが示された。
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