研究概要 |
内径あるいは一辺が1㎜程度の微細流路を有する円管と矩形管および三角形管を対象に, 冷媒R410AとR32を用いて, 垂直上昇と下降および水平流における気液二相流動様相の観察および沸騰熱伝達と圧力損失に関する実験を行い, 以下の結果を得た. 1. 微細流路内の流動様相や沸騰熱伝達および圧力損失に及ぼす流路形状や流動方向の影響, つまり表面張力や重力の影響は, 全般に, 質量速度が100kg/(m^2-s)以下の低流量で現れた. 2. 可視化ガラス管を加熱して沸騰熱伝達試験に近い条件で管内冷媒の様子を観察したことで, 流路形状によらず垂直流よりも水平流の熱伝達が, 流動方向によらず円管よりも非円形管の熱伝達が良好になる伝熱メカニズムを明らかにした. 3. 微細流路内断熱気液二相流の観察結果をもとに, 気液各相のWe数で整理されたChenらの流動様式線図を低流量へ拡張し, 円形, 矩形, および三角形流路の垂直上昇流と下降流さらに水平流に適用可能な新たな5つの流動様式線図を作成した. 4. 予定していた実験計画が早期に終了したため, これまでの研究で使用してきた冷媒R410Aよりも地球温暖化係数が小さく今後使用が予想されるR32を用いて水平流の実験を行った. R32とR410Aを比較すると, 熱伝達率は全般にR32の方が高く, また圧力損失については, ともにスラグ流が観察される領域で同等, それ以外の流動様式ではR32の方が大きくなることがわかった. 以上の成果は, 雑誌論文として4編が掲載, 1編が投稿中で, 空調用熱交換器の高性能化, コンパクト化に大いに貢献するものと期待できる.
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