研究課題
特別研究員奨励費
本研究では小型で三次元空間の任意方向へ動作可能な多自由度振動アクチュエータの開発と,力覚を提示可能な制御法を提案することで,非接地力覚提示の実現を目的としている.本年度は主に振動アクチュエータで発生させる偏加速度の最適化を行った.昨年度までに提案した二自由度振動アクチュエータは,x,y軸に独立の変位を得ることができ,また任意の波形を生成することが可能である.しかし,昨年度まで用いていた加速度波形は,先行研究の波形を元にしたものであった.これは先行研究の機械的形状に起因する波形であり,どのような波形が力覚提示に適しているか明らかにされていない.本年度は波形の特徴が知覚に与える影響を調査を行い,高い知覚率と低い消費電力の両立を目標として,遺伝的アルゴリズムによる波形最適化を行った.波形の特徴が知覚に与える影響の調査では,偏加速度波形の特徴として(1)偏加速度の最大ピークの大きさ,(2)偏加速度のピーク比 の2つをあげ,それぞれに対して被験者実験を通してその影響を調査した.試作機を用いて実験を行った結果,偏加速度最大ピークに関しては可動子に4.3m/s2程度のピーク値があれば十分であり,またピーク比を3よりもさらに大きくすることで平均正答率をより高くすることが可能であることが明らかになった.これらの結果を踏まえ,遺伝的アルゴリズムを用いて目標加速度ピーク(可動子4.3m/s2)を満たす偏加速度波形のなかでピーク比を最大化,消費電力を最小化するように評価関数を定め最適化を行った.最適化後の波形と,従来波形での実験結果を比較すると,最適化後の波形では従来の波形と比べ約3%正答率が向上した.また消費電力については従来の波形と比較して47%消費電力が削減された.これらから,最適化によって得られた波形は高い知覚率と低い消費電力を両立しており,目的を達成していると言える.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEEE Transactions on Magnetics
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