研究課題/領域番号 |
12J00817
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
芸術学・芸術史・芸術一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
蘆田 真由 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2012年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 子ども / ドラえもん / 観客 / 萌え / 母性 / 映画 / 受容 |
研究概要 |
当初の研究目的を、アニメーション作品を子ども観客がいかに受容しているかを明らかにすることとしていた通り、日本のアニメーション映画において最長の歴史を持つ子ども向け作品「ドラえもん」シリーズに焦点を合わせ、子どもの表象の変化を読み取ろうと試みた。具体的には、オリジナル版とそのリメイク版を比較し、どのように異なっているのかをストーリーテリングやキャラクターに着目した作品分析を行った。そうすることによって、オリジナル版には存在しなかった新しい登場人物が増え、物語がより複雑化していること、それに加え、フラッシュバックやツーショットが多用されることによってメロドラマ的要素が強調されていることがわかった。またリメイク版では、オリジナル版にも登場しているキャラクターに新たに性的要素とも言える「萌え」要素が付け加えられていること、そして、社会的・文化的変化から子どものキャラクターに母性と父性が表象されていることを明らかにした。アニメーション作品は、観客の意向を如実に作品に反映させる傾向がある。そこで、映画ドラえもんシリーズを作品分析することによって、作品内で描かれている子どもの表象の変化を読み解き、その表象の変化から、現代の子どもの作品受容を解き明かすことに成功した。映画「ドラえもん」シリーズは、30年の歴史を経て、子どもがもはや"なにも知らない純粋無垢な存在"として看做されなくなったことを示しているのだ。
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今後の研究の推進方策 |
日本のアニメーション映画作品のよかで最長の歴史を誇る映画ドラえんシリーズ作品分析することによって、約30年間のあいだの子どもキャラクターの表象の変化、そして現代の子どものアニメーション作品の受容の仕方の一側面を明らかにすることができた。子ども観客を対象とし制作されているアニメーション作品を俎上の載せることは、子ども観客を研究するうえで重要なことだが、この研究を通して、アニメーション作品だけでなく、日本映画史全体を視野に入れた子ども観客や子どもの表象を研究する必要性を強く感じた。今後は、より広い視野で、子どもの表象と子ども観客の受容の仕方の関連を調査する。
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