研究課題
特別研究員奨励費
まず、ピロリ菌の地理的な集団構造と、集団の垣根を越えた相同組み換えによる遺伝情報のフローを明らかにする研究を完成させた。新たにゲノムの解読された沖縄株を含め、トータルの解析対象の株数を昨年度の約3倍に増加させた上で、欧州で開発されたchromosome paintingとfineSTRUCTURE(当初はヒトゲノム解析のために開発された方法)を、世界で初めて細菌のゲノム解析に応用した。その結果、従来の研究では見出されてこなかった、より細かな集団構造が明らかになると同時に、集団の垣根を越えた遺伝情報のフローの定量的な理解が可能になった(Yahara et al. (2013), Molecular Biology and Evolution)。次に、英国に長期滞在しながら、細菌ゲノムの中で、自然選択が作用し適応進化に寄与している可能性の高い相同組み換えのホット領域を、100を越える多数のゲノムの塩基配列データから推定する方法の開発に注力した。系統樹に依存せず、クローンの存在に頑健で、相同組み換えの相対強度を一塩基単位で推定可能にするために、予めゲノムを順序付で並び替えた上でchromosome paintingを実行し、ゲノム平均に対する各サイトのコピー確率行列の乖離度を足し込む、というアイディアに基づいて、その開発に成功した。シミュレーションによる性能評価を行った上で、現実のゲノムデータに適用してその有効性を示し、オープンソースのプログラムorderedPainting (https://github.com/bioprojects/orderedPainting)として実装・公開した(Yahara et al. in press, Molecular Biology and Evolution)。
(抄録なし)
すべて 2014 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件)
Molecular Biology and Evolution
巻: (印刷中) 号: 6 ページ: 1593-1605
10.1093/molbev/msu082
巻: 30(6) 号: 6 ページ: 1454-64
10.1093/molbev/mst055
巻: (印刷中)(掲載確定)