研究概要 |
低被曝断層撮像を可能にするために,屈折コントラストに基づくトモシンセシス再構成アルゴリズムを開発した.まず被写体の測定過程における数学モデルから再構成アルゴリズムを導出した.アルゴリズムの有効性はシミュレーションにより検証された.次に,X線を用いたテストファントムの撮影実験を行い,密度分解能,空間分解能,S/N,被曝量など,さまざまな角度から評価した.さらに,乳癌羅患者から摘出された乳房の撮影実験を行い,医学的検討・被曝量の算出などを行った.本年度では次の成果を挙げた. 1.屈折コントラストに基づくトモシンセシスの再構成アルゴリズムと生体サンプルを用いた実験結果についてThe 11th International Conference on Synchrotron Radiation Instrumentation (SRI2012)国際会議で発表した. 2.再構成アルゴリズムの正当性を数値ファントムのシミュレーションデータから検証した.ここで,シミュレーションデータの生成のために,新たにX線撮像シミュレーターを開発した.シミュレーターでは,膨大な計算コストを伴う入射X線ビームのレイトレーシング処理を行っている.この計算をGPUデバイスに任せることで約100倍の高速化を実現した. 3.本研究では,屈折コントラストX線の測定に暗視野光学系を利用しているが,現在開発中の高感度撮像方式であるM-DEI (multiple-times-difraction enhanced imaging)を用いて断層撮像が可能かどうか検討を行った.
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